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  1. 長野県議会 2022-12-08
    令和 4年11月定例会本会議-12月08日-04号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年11月定例会本会議-12月08日-04号令和 4年11月定例会本会議 令和4年12月8日(木曜日)  出席議員(54名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 原 健児    30 番 小池久長   5 番 清水正康    32 番 酒井 茂   6 番 加藤康治    33 番 堀内孝人   7 番 川上信彦    35 番 依田明善   8 番 山田英喜    36 番 小島康晴   9 番 大井岳夫    37 番 小林東一郎   10 番 花岡賢一    38 番 毛利栄子   11 番 池田 清    39 番 和田明子   12 番 熊谷元尋    40 番 諏訪光昭   13 番 百瀬智之    41 番 山岸喜昭   14 番 山口典久    42 番 丸山栄一   15 番 小山仁志    43 番 小池 清   16 番 丸茂岳人    44 番 宮本衡司   17 番 竹内正美    45 番 清沢英男
      18 番 竹花美幸    46 番 鈴木 清   19 番 宮下克彦    47 番 高村京子   20 番 大畑俊隆    48 番 宮澤敏文   21 番 共田武史    49 番 西沢正隆   22 番 髙島陽子    50 番 風間辰一   23 番 荒井武志    51 番 佐々木祥二   24 番 埋橋茂人    52 番 向山公人   25 番 続木幹夫    54 番 本郷一彦   26 番 中川博司    55 番 萩原 清   56 番 服部宏昭    57 番 望月雄内  欠席議員(2名)   31 番 丸山大輔    34 番 石和 大  欠員(1名)         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    建設部長      田中 衛   副知事       関昇一郎    公営企業管理者   産業政策監     伊藤一紀    職務執行者・企   危機管理部長    前沢直隆    業局長       須藤俊一   企画振興部長    清水裕之    財政課長      高橋寿明   総務部長      玉井 直    教育長       内堀繁利   県民文化部こど           警察本部長     小山 巌   も若者局長     野中祥子    監査委員      田口敏子   健康福祉部長    福田雄一    選挙管理委員会   産業労働部長    林 宏行    委員長       北島靖生   観光部長      渡辺高秀   農政部長      小林安男         ───────────────────   職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    総務課課長補佐   宮島文明   議事課長      矢島 武    兼庶務係長   議事課企画幹兼   蔵之内真紀   総務課担当係長   津田未知時   課長補佐   議事課担当係長   矢島修治         ───────────────────  令和4年12月8日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君) これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、石和大議員から本日及び明日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君) 次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、川上信彦議員。       〔7番川上信彦君登壇〕 ◆7番(川上信彦 君) 皆さん、おはようございます。初めに、地域医療におけるオンライン診療の活用について伺います。  厚生労働省では、オンライン診療について、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、令和2年4月から、時限的、特例的な対応として初診も含め医師の判断で電話やオンラインによる医療相談、受診ができるようにしました。コロナ禍においてオンライン診療の有効性は理解されてきましたが、医療機関にとっては対面診療と比べ診療報酬が低いことが課題でした。そこで、本年4月から、新施設基準を満たす医療機関ではオンライン診療料が初診や再診における診療報酬の中に盛り込まれ、対面診療と比べ約87%の報酬に引上げとなり、今後医療機関への普及はさらに加速していくものと考えられます。  そこで、県内医療機関におけるオンライン診療の導入状況と今後の見込み、導入に向けた課題について伺います。  県内の僻地医療の現状について、医師不足や限られた医療資源の有効活用は重要な課題です。売木村診療所では、昨年3月、常勤医師の退職に伴い県立阿南病院に医師の派遣を要請。阿南病院は、昨年4月から、医師1名週1回の売木村診療所への派遣を開始しました。その後、診療回数を増やしてほしいとの村の要望に応えるため、本年5月から売木村診療所にオンライン診療を導入しました。これにより、対面診療とオンライン診療を組み合わせ、週2回の診療が実現しました。  オンライン診療の方法は、阿南病院にいる医師が売木村診療所で保管している電子カルテを病院から遠隔操作し、カメラを通して患者の容態を確認し、診療を実施。診療所にいる看護師が、医師の指示に従い、診療の補助や機器の操作を行います。なお、オンライン診療は、あらかじめ対面診療により医師が適当と判断した患者を対象に実施しています。  オンライン診療の導入について阿南病院に伺ったところ、機器の整備のほかに、紙のカルテを電子化する必要がありました。紙のカルテを電子化するには多額の費用がかかるため、現在診療所を受診している患者に限定し、売木村が費用を負担し、実施しました。今後、地域医療におけるオンライン診療の活用を促進するためには、機器の整備と併せ、電子カルテの普及促進が必要であると考えます。県内の電子カルテの普及状況を伺うとともに、今後の課題や対策について伺います。  僻地医療において、医師の確保は最も重要な課題です。阿南病院による対面とオンライン診療の併用など、僻地医療の現場におけるオンライン診療の実践は、オンライン診療に関心を持つ若手医師等に対するアピールポイントとなるとともに、医師の負担軽減にもつながるため、医師確保に有効であると考えますが、所見を伺います。  近年、国内で医療機関を狙ったサイバー攻撃による被害が多数報告されています。大阪急性期・総合医療センターで判明した身の代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」による被害では、電子カルテの閲覧ができなくなるなどの事態が発生し、地域医療が混乱に陥ったケースも出ています。  厚生労働省は、医療機関に対し、欠陥を速やかに修正するとともに、バックアップデータを保存する媒体をネットワークから切り離すなどの対策を呼びかけましたが、十分に浸透せず、被害が拡大しました。地方の小さな病院が被害に遭うケースもあり、その脅威は日増しに高まっており、医療機関に対するサイバー攻撃を未然に防ぐための対策が急務であります。そこで、県内医療機関における情報セキュリティー対策の状況について伺うとともに、県の今後の対応について、以上4点を健康福祉部長に伺います。  次に、ヤングケアラーへの支援について伺います。  本来大人が担うような家事や家族の世話、介護を日常的に担う18歳未満の子供、ヤングケアラーについて、政府は今年度から3年間を集中取組期間と定め、国の予算を活用し、各自治体で、実態調査や、福祉、介護、教育など関係機関への研修などの具体的な対策に取り組むことを進めるとしています。  文部科学省や厚生労働省は、ヤングケアラーについて、日々のケアに多くの時間や労力を割くため、学業不振や不登校、就業機会の喪失など深刻な問題に発展しているケースがあるとしています。また、ヤングケアラーは幼い頃からそうした状況に置かれていることが多く、当事者自らが相談したり助けを求めたりすることは少ないとされ、学校などで助けを求めることの大切さを周知していくことが重要であります。また、家族のために献身する行為自体は尊く、否定するものではありませんが、それが原因で自分の将来に希望が持てず苦しむようなことがあってはなりません。  私は、昨年11月定例会一般質問において、県による小中学生を対象とした実態調査や子育て世帯を対象とした家事育児支援を実施するよう要望し、実施に向けた取組について質問させていただきました。そこで、本年度、県は、小中学生、大学・短大生を対象とした実態調査を実施していますが、現在の進捗状況と調査結果の公表時期について伺います。  また、県は、県内市町村と連携し、国の子育て世帯訪問支援臨時特例事業を活用し、市町村が実施主体となり、家事や育児に不安を抱いていたり虐待が疑われたりする家庭を市町村の支援員が訪問し、問題を抱えていないか状況を把握、子供が担う育児や介護、家事を公的なサービスで代替できるよう調整する支援事業を計画、実施しています。そこで、これら市町村の取組状況を伺うとともに、県の今後の対応について伺います。  厚生労働省では、学校や自治体などが連携するためのマニュアルを公表し、主体となる機関や部署を決め、ヤングケアラーコーディネーターを配置することを提言しています。  北海道では、学校をはじめとする関係機関や地域住民がヤングケアラーと思われる子供を発見した際どこに相談したらよいか分からないといった場合に、ヤングケアラーコーディネーターに相談をすることで市町村等の適切な相談窓口や関係事業所を紹介、調整する役割を担っています。また、市町村等ヤングケアラーを支援している関係者の求めに応じ、ヤングケアラーへの支援方法等に関する技術的助言も行っております。  そこで、長野県においてもヤングケアラー専門相談窓口を設置するとともに、ヤングケアラーコーディネーターを配置することを提案しますが、以上3点についてこども若者局長に伺います。  次に、地域課題の解決と企業誘致について伺います。  地方から都市への人口流出が続き、地方に若者がいない、人材が育たないとの指摘を多く聞きますが、私の身近な地域を見てみますと、自分の知識や経験を生かし地域の課題解決に取り組む若者や地域おこし協力隊の皆さんが増えてきていることを実感します。  近年、SDGsやゼロカーボンの取組が浸透する中で地域の課題解決に取り組むことは、若者をはじめ地域を活性化する上でますます重要となります。一方で、人口減少や高齢化の進行により、地域を支える産業の喪失、労働人口の減少に伴い、企業は労働者不足に陥り、加えて、後継者不足により企業の存在も危ぶまれる事態が心配されております。  そんな中、県ではおためし立地チャレンジナガノ事業を開始。県内の豊富な地域資源や多様な課題が存在する状況を好機と捉え、その課題に取り組む県内外企業をマッチングさせることで、市町村と県内外企業との多様なオープンイノベーションを推進。参加企業は、地域の課題を解決する新しいサービスの開発や実証プロジェクトの構築に取り組んでいます。  今回、下條村のそば産業のイノベーションの取組を調査しましたが、県のサポートの下、企業とのマッチングに取り組む中で海外のベンチャー企業と巡り会うことができるなど、今後の取組が期待されます。そこで、おためし立地チャレンジナガノ事業の現在の状況と今後の展望について伺います。  また、地域の課題をビジネスの手法で解決するコミュニティービジネスは、地域における新たな創業や雇用の創出、働きがい、生きがいを生み出し、地域の活性化に寄与するものと期待されます。これらコミュニティービジネスが地域の活性化に与える効果について、以上2点を産業労働部長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 地域医療におけるオンライン診療について御質問をいただきました。  まず、オンライン診療の導入状況と今後の見込み、導入に向けた課題についての御質問でございます。  県内医療機関のうち、オンライン診療を恒常的に行うものとして国への届出を行っているのは86機関となっております。これとは別に、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて特例的に電話診療またはオンライン診療を行う医療機関も増えておりまして、668機関が届出を行っておりますが、その多くは電話診療によるものと認識しております。  こうした医療機関と患者を直接結ぶオンライン診療は、予約による待ち時間の節減等の利便性があり、情報通信技術の進歩や有用なアプリケーションの普及も相まって、今後ニーズが拡大することが考えられます。  なお、医療関係者からは、オンライン診療では得られる情報が視覚と聴覚に限られるとの意見が聞かれるほか、患者にスマートフォンやパソコンの操作に習熟してもらう必要があるなどの点が課題として挙げられております。  一方、既に県内では医療機関相互を結ぶオンライン診療も始まっておりまして、お話がございましたとおり、阿南病院と売木村診療所でも活用されております。このような取組は、中山間地や僻地を多く抱えている本県において、必要な医療を確保する観点から大変重要であると考えております。  次に、県内の電子カルテの普及状況及び今後の課題や対策についてでございます。  電子カルテは、医療機関内での診療情報の共有や業務の効率化、医療の質の向上につながるほか、地域における医療機関や介護施設等の間で情報共有、連携がより効率的、効果的に行われるための基盤として有用であると認識しております。  県内の電子カルテ導入状況は、令和2年度の医療施設調査によりますと、一部を含め導入している病院が126病院中83病院の65.9%、診療所に関しては1,564診療所中901診療所、57.6%であり、一層の普及が望まれるところでございます。  今後のさらなる電子カルテの普及に向けた課題としては、主にイニシャルコストや更新費用など一時的な費用負担が大きいとお聞きしております。普及のための財政支援については、令和元年度以降、地域医療介護総合確保基金事業の補助対象外とされ、現在補助メニューがないことから、国に対して新たな補助制度の創設等を要望しておりまして、今後も必要に応じて要望を行ってまいります。  次に、医師確保にも有効ではないかという点についてでございますが、僻地医療の現場におけるオンライン診療の実践は、医師不足の補完や地域偏在の解消、移動にかかる負担の軽減等につながることに加えまして、御指摘のとおり、若手を中心にオンライン診療に関心を抱く医師に対し就業先として魅力の一つになり得るものと認識しております。  県では、ドクターバンク事業や修学資金を貸与した医師等の配置調整をはじめ、様々な医師確保対策を行っておりますが、御指摘のようなオンライン診療の実践など医療機関による特色ある取組や就業環境の魅力を医師にしっかりとお伝えすることにより、県内の地域医療で活躍していただける医師の確保につなげてまいりたいと考えております。  最後に、医療機関のセキュリティー対策についての御質問でございます。  近年、国内外の医療機関に対するサイバー攻撃の一層の多様化、巧妙化が進み、診療業務等に大きな影響を与えているものと認識しております。県におきましては、今年度から、医療法に基づく医療機関への立入検査の際に、データ等を確実にバックアップしているかどうか、サイバー攻撃を想定した対処手順に基づき訓練を行っているかなどサイバーセキュリティー対策の実施状況の確認を行っているところですが、今年度末に現況や課題を取りまとめ、今後の対策に生かしてまいりたいと考えております。  また、今般の大阪の医療機関へのサイバー攻撃事案を受け、国から改めて注意喚起を促す通知が発出されたところでございますが、一定のセキュリティー水準への引上げには多額のイニシャルコストを要することが見込まれることから、国に対して機会を捉えて財政的支援などを要望してまいります。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私にはヤングケアラー支援について3問御質問をいただきました。  まず、ヤングケアラー実態調査の進捗状況及び公表時期についてでございます。  県においては、県内のヤングケアラーの実態を把握するため、本年9月から10月にかけて、全市町村の協力の下、既に先行して調査を行った高校生以外の小学校5年生から短大生、大学生までを対象として、お世話をしている家族の有無、その理由、家族の世話による影響などに関するアンケート調査を行いました。加えて、小学校、中学校、大学等に対しても、ヤングケアラーの把握状況、支援を行うために必要なことなどに関するアンケート調査を実施したところでございます。  本調査の結果につきましては、現在集計分析を進めているところであり、今月中をめどに公表する予定でございます。結果に関しましては、公表と同時に市町村に共有したいと考えております。  次に、子育て世帯訪問支援臨時特例事業の市町村の取組状況、県の対応についての御質問でございます。  子育て世帯訪問支援臨時特例事業は、ヤングケアラーのいる家庭も含めて、世帯が抱える不安や悩みを訪問支援員が傾聴しながら家事、育児等の支援を実施することにより子供たちの養育環境を整えるという点から、非常に有効な取組であると認識しております。現在、五つの市町村において、幼い兄弟の世話に追われる中学生のいる家庭への家事支援の提供などの事業に取り組んでいただいているところでございます。  県としては、より多くの市町村に本事業を活用いただくため、市町村に対して個別に活用を呼びかけるとともに、先月28日には担当者会議を開催いたしまして、先行して取り組んでいる自治体の事例を紹介するなど積極的な取組を促しているところでございます。現時点で活用に至っていない市町村からは、支援が必要な世帯が把握できていない、支援が必要な世帯を把握し体制も整っているけれども家族からの同意が得られない、委託できる事業者がいないなどの課題を伺っているところでございます。
     今後、事業検討の意向を示している市町村も複数ございますので、県といたしましては、挙げられた課題を踏まえ、今年度実施いたしました実態調査の結果の活用、他の自治体における取組事例の紹介、市町村からの個別相談へのアドバイスなどを通じて、より多くの市町村が本事業を活用していただけるよう取組を促してまいります。  最後に、ヤングケアラー専用相談窓口の設置とコーディネーターの配置についてでございます。  潜在化しやすく支援の手が届きにくいと言われるヤングケアラーに対して本来全ての子供が当たり前に享受すべき学びや育ちの環境を提供するためには、教育、福祉等の関係機関が連携していち早く当事者を把握し、速やかに支援につなげることが必要であると考えております。そのためには、ヤングケアラー本人だけではなく、変わった様子に気づいた周りの人々がちゅうちょなく相談や問合せができる専用の窓口があることや、関係機関同士の連携や調整を担い、支援につなげるコーディネーターの存在が重要であると認識しております。  県では、地域でヤングケアラーへの支援を担う市町村に対して担当部署の設置やコーディネーターの配置を働きかけるとともに、県におきましても、当事者及び家族等からの相談に対応するための相談窓口の設置、困難な事例の支援に関する技術的助言や市町村と関係機関同士の連携を促し、地域の支援体制づくりを後押しするようなコーディネーターの配置について検討してまいりたいと考えております。  今後も、市町村と連携して、県内全域でヤングケアラーへのきめ細やかな支援を実現するための体制づくりに向けて取り組んでまいります。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 地域課題の解決と企業誘致に関連して2点御質問を頂戴しました。  初めに、おためし立地チャレンジナガノ事業の現状と今後の展望についてでございます。  本事業は、市町村が抱える地域課題を企業等のビジネスアイデアによって解決を目指すとともに、県内に拠点を設けていただくことを促す支援策であり、スタートから2年目を迎えたところです。昨年度は、8市町村において、地域ブランドを世界に発信し販路拡大を目指す取組やアフターコロナを見据えた地域交通の再構築、世界水準のオールシーズン型マウンテンリゾートの実現などの課題に対し県内外の60社から157の提案をいただいたところです。  具体的には、SUWAプレミアムブランドの強化とワーケーションなどを組み合わせたプロジェクトに参画した企業2社が県内に拠点を形成した事例や、辰野町や白馬村においてMaaSを活用したデマンド乗合タクシーの事業化を目指すプロジェクトなどの取組が進められており、既に6社が県内にサテライトオフィス等を開設しております。  今年度の事業につきましては、議員にも御指摘いただきましたが、下條村を含む10市町村から、農業を活用した産業イノベーション、リニア開業を見据えた商店街の活性化、製造業における人材不足の解決などの課題に対し51社から115の提案をいただいており、現在市町村と企業のマッチングを進めているところです。本事業を通じ、市町村と企業のつながりをサポートすることで、関係人口の創出と企業の立地を促進し、地域の活性化につなげてまいります。  次に、コミュニティービジネスが地域の活性化に与える効果についてのお尋ねでございます。  コミュニティービジネスは、まちづくり、観光、ITなど様々な分野で取り組まれており、ビジネスモデル創出による就業機会の拡大、地域コミュニティーの維持、再生につながるものと期待されておりますが、事業収益を上げづらい分野も多いため、活動拠点、人材、資金、情報などの経営資源に応じたサポートが重要と考えております。このため、おためし立地チャレンジナガノ事業では、公共セクター、企業、団体の垣根を越えた協働を促すコーディネート機能を充実させたところです。  また、スタートアップを後押しするためのソーシャル・ビジネス創業支援金により、令和3年度は22件、令和4年度は20件を支援しているところです。県といたしましては、これらの取組を通じ、地域の雇用創出と経済の活性化につなげてまいります。  以上でございます。       〔7番川上信彦君登壇〕 ◆7番(川上信彦 君) 地域医療におけるオンライン診療の活用について、県立阿南病院の田中院長は、自治体設置の診療所では医師の確保が常に課題になっており、オンライン診療のノウハウが確立できれば、他の診療所の医師が不在になった場合にも活用できるのではないかと話しています。  県内各地で行われる地域課題への取組は、同じ課題を抱える他の地域の参考となり、希望ともなります。県による市町村に寄り添った支援により県内各地の課題解決への取組がさらに加速することを希望して、私の一切の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、宮下克彦議員。       〔19番宮下克彦君登壇〕 ◆19番(宮下克彦 君) おはようございます。諏訪市区選出の宮下克彦です。通告に沿って質問してまいります。  まず、福祉大学校の将来像について伺います。  過日、全世代型社会保障検討会議の山崎史郎内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)の講演で人口減少や少子化対策の世界情勢をお聞きしました。要は、人口減少問題がこれからの日本の今後にとって非常に重要だということであります。  そして、そこにつながる子育て支援対策が重要です。子育ての現場は、コロナ禍もありまして非常事態で、母親や家族は子育てに相当な困難を来しているのが現状でございます。子供は、核家族ではなく、大家族で、また地域で、社会全体で育てるものだと実感しているところでございます。  女性が働くためにも保育の必要が大きな課題となり、保育士の養成がさらに必要となってきております。社会の現場のニーズは常に変動しております。現場で実際に必要となっているのは、未満児保育や延長保育でございます。育休を1年で終えて職場復帰する女性社員が増加する現在、1歳から3歳未満の未満児を見てくれる場所が必要なのです。さらに、3歳から6歳児は延長保育が必要です。早朝の7時から9時、また夕方19時までの延長保育が必要となってきています。  このような状況下で、諏訪市清水町にございます貴重な県立の保育士、介護福祉士の養成機関であります福祉大学校の保育実習室につきましては、50名余の園児を預かりまして、主に学生の実習に役立てる目的で設置されており、現在のところ未満児保育や延長保育は行われていません。  これまで、私たちも地元の住民の皆様とこの施設を生かす方法を探りまして、福祉大学校OBの皆様、また地元清水町の皆様、福祉大学校保育園の園児の保護者の皆様、また、地元の県議、市議の皆様も含めまして、令和元年から研究会を数回重ねてまいりました。  この保育実習室の貴重な点は、別棟にあるのではなく、学生の教室に隣接して存在し、学生と園児が交流しながら共に学び、遊びながら成長しているところでございます。このような貴重な施設はほかの短大等にはありません。  例えば、運動会では子供と学生がチームとなりリレーで一緒に走るとか、組体操では子供と学生が一体となる演技を見せて見守る人たちも巻き込んで大きな感動を誘いました。この感動は、学生たちや子供さんの一生の記憶に残り、人生を支えるだろう貴重なものだと思います。  お昼の休憩時間に実際に見ておりますと、正午に学生と子供が飛び出してきて、まず集まって一緒に歌を歌ってから体育館で駆け回って遊ぶのです。私も一緒に遊びました。この生き生きとした体験がどれだけ彼らの一生に価値のあるものなのか計り知れません。  また、地域との一体感についても、芝生の中庭で転げ回り、地域の小学生と暗くなるまで遊ぶとか、御柱祭には地元清水町の皆さんと中庭で和気あいあい交流するとか、学生、子供、地域の皆様との交流は、市役所や役場の保育係長さんや市町村保育園の園長さんとして長野県の各地の保育現場を支えてくれている貴重な保育関係人材の養成に今まで大きな役割を果たしてきたと考えられます。知事をはじめ行政の皆さんにはぜひこの現場を一度見ていただきたいと考えます。  さて、県ではこれら保育施設等を前向きに進化させる検討が行われていると聞いていますが、その状況を踏まえてお聞きしてまいります。  まず、女性の就業に伴い必要性を増す子育て支援対策を踏まえて、長野県に必要な保育とその施策の方向性についてどう考えるか。野中こども若者局長に伺います。  次に、福祉大学校の保育士人材育成の現状と、保育士養成の質的な向上を目指すためには、保育実習室において社会の変化等に対応した保育ニーズに基づく実習を行う必要があると考えますが、今後の取組を福田健康福祉部長に伺います。  三つ目に、幅広い地域から子供を通わせたいと保護者が考えるような保育施設の充実を行うなど、福祉大学校の将来像について阿部知事に伺います。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には長野県に必要な保育とその施策の方向性について御質問をいただきました。  女性の就業率上昇に伴い、近年、保育所利用率、特に3歳未満児の利用率が増加しております。乳幼児期は、心身の発達の基盤が形成される上で極めて大切な時期であり、その時期の大半を過ごす場である保育所等の果たす役割は非常に重要であると考えております。  このため、保育所におきましては、子供が安心、安全に過ごすことができる環境を提供するとともに、社会性、非認知能力、コミュニケーション能力、協調性、主体性など生きる力を育むための養育と教育が一体となった保育が行われることが求められていると考えております。  県といたしましては、こうした質の高い保育が実現できるよう、福祉大学校における実践力のある保育士の養成や保育士のキャリアアップ研修、保育所の運営費補助、指導監査等を行うとともに、長野県の豊かな自然や環境を生かして体験活動を積極的に行う信州やまほいくの認定や支援などにより特色のある保育を推進しているところでございます。  今後も、子供たちが安心、安全に過ごし健全な心身の発達を図ることができる質の高い保育を県内で提供できるよう、保育所等に対する支援をしっかりと進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 保育実習室の今後の取組についての御質問でございます。  福祉大学校は、総合的福祉人材養成施設として地域福祉をリードする専門的な福祉人材である保育士と介護福祉士の養成を行っております。学校内に設置された保育実習室は、保育士を志す学生が継続的かつ日常的に子供や保護者と関わる中で実践力、応用力をも養う学びのための重要な施設であると認識しております。  一方、保育に対するニーズは、御指摘がございましたとおり、女性の就業率の上昇や核家族化などの社会情勢の変化により未満児保育の需要が高まるなど、多様に変化してきております。学びの水準を維持しつつこうした保育ニーズの変化に対応していくためには、それに対応できる実践力を備えた保育士の養成が必要であると考えておりまして、そのための新たな取組について検討を行ってきたところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には福祉大学校の将来像についてという御質問をいただきました。  福祉大学校は、昭和28年に保育専門学院として開設以来、保育人材の養成施設として県内や諏訪地域の保育関係者から大いに評価をいただいているところと受け止めております。  ただいま健康福祉部長から御答弁申し上げたように、社会情勢の変化を踏まえた保育ニーズに応え、実践力を備えた人材育成を推進していくことが必要になっておりまして、そのためには、保育実習室に民間の保育事業者を誘致することが最も適切だというふうに判断させていただきました。様々な保育サービスがありますけれども、非常に先進的な取組を行っていただいている事業者の皆様方も多くあります。そうした皆様方と連携し、共創していきたいと考えております。  このため、今後、保育実習室の運営者として優れた保育サービスの実施が期待される民間の保育事業者を公募していきたいというふうに考えております。福祉大学校につきましては、こうした新たな取組も通じまして、社会や地域から求められる保育ニーズに対応した教育を学生に提供し、また、県における保育人材の中核的な教育施設としての役割を果たすことができるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔19番宮下克彦君登壇〕 ◆19番(宮下克彦 君) 前向きな御答弁をいただきました。  民間の事業者を誘致し、そのノウハウ等も生かしまして、女性活躍のためにも、また地元清水町の活性化のためにも、福祉大学校の長年の伝統を生かした上で、さらに園児、学生が共に成長していけるような新たな進化を心より期待しております。  次に、国民スポーツ大会の準備の推進につきまして伺います。  国民スポーツ大会は、6年後の2028年に長野県開催で行われる予定でありまして、着実な準備が県全体として必要であると考えます。諏訪市では、セーリング、軟式野球、トライアスロンが開催される予定で、既に全国的な団体が現地を視察し、施設整備等の要望を伝え始めていると聞いております。競技開催に必要な施設整備やヨットの運航に関わる諏訪湖のしゅんせつなど、やるべき課題は山積していると聞いております。  生涯にわたるスポーツの価値、重要性は、健康づくりや社会活動としても、現代においてますますその必要性が増していると考えます。国民スポーツ大会を十分な成果を上げて実行することは、長野県にとって大変重要な課題と考えられます。  そこで、内堀教育長に伺います。  まず、2028年に長野県で開催が予定される国民スポーツ大会に向け、県や競技会場地である市町村では準備が進められてきていると思いますが、主な準備業務に係る県と市町村の分担、協力体制の現状はいかがでしょうか。  次に、国民スポーツ大会が開催される令和10年における諏訪地域は、御柱祭開催の年に当たりまして、大会運営等に参加いただく方が十分確保できないことが大変懸念されますが、例えば、県下の競技実施予定のない町村の協力をいただくなど、諏訪地域で予定されている競技が円滑に開催されるために県はどのような体制をつくっていくのか伺います。  3番目に、現在、公益財団法人日本セーリング連盟、公益社団法人日本ボート協会等の中央競技団体の競技会場の視察が諏訪地域でも実施され始めていますが、諏訪市、岡谷市、下諏訪町で開催が予定されているトライアスロン競技も含めまして、競技関係者の要望に応えるための県の競技施設整備支援の検討状況はいかがか、伺います。  次に、大きな項目の三つ目の質問に移ります。県道岡谷茅野線の交通規制対策の進捗について伺います。  県道岡谷茅野線と一部に諏訪市道を含みます通称西街道の大型車規制につきましては、6月議会で質問したところでございます。諏訪警察署をはじめ、諏訪建設事務所、諏訪市役所で共同の現地調査等を実施するなど、鋭意対策を進めていただき感謝申し上げるところですが、現道ではこの11月に重大な事故が発生して、喫緊の対策が必要となってきています。  地域では、地区内で大型車を運行する事業者と懇談会を重ねまして、事業者の説得のため、私も区長らと個別に事業所を訪問して意見交換を重ね、納得いただき、このたびようやく地域の合意形成を成し遂げました。先般諏訪警察署に地域の皆さんと共に最終的な要望書を提出したところでございます。  建設事務所や市役所も現場調査や懇談会に協力し、管理する道路の交通安全対策として、路面標示やポールの設置に取り組んでいるところであります。各機関のきめ細かな対応に感謝を申し上げながら質問をしてまいります。  一つ目。県道岡谷茅野線の大型車交通規制対策について地域の合意形成が進んできましたが、今後の見込みはいかがか。小山警察本部長に伺います。  二つ目。最近も重大な事故が頻発している現道の生活道路としての安全対策の状況はいかがか。田中建設部長に伺います。  次に、四つ目の大きな項目として、流域治水対策の加速化について伺います。  治水事業の歴史は、我が国では、古来より、信玄堤等に見られますように水害との闘いでありました。堤防づくりが基本でございますが、武田信玄は信玄堤として幾重にも重ねられた個性豊かな治水施設の数々によりまして、揺るぎない意志をもって洪水から民の生活を守ったわけでございます。そこには、事に当たって常に柔軟に対応することを第一とした信玄の政治哲学さえ見えてきます。  先般、10月19日に中部地方治水大会が諏訪市で行われ、中部地方の治水事業関係者が結集し、国会や政府に対しまして事業促進を強く要望し、協働して被害を軽減させる流域治水の推進を決議したところであります。  11月24日には、諏訪市役所におきまして、諏訪湖流域治水促進期成同盟会の設立式が執り行われ、諏訪湖や天竜川、さらには諏訪湖に流入する河川等の整備促進を図るため、諏訪地域6市町村が一体となって諏訪地域の治水について検討、要望を行い、天竜川上流域として、上伊那地域、下伊那地域とも連携しまして広域的に流域治水を進める体制が整ってまいりました。  流域内には、天竜川や上野川のように、諏訪地域から上伊那の辰野町に流れていく河川がございます。建設事務所をまたがって事業を行う河川がございます。国との連携も必要になると考えます。  そこで、お聞きします。天竜川上流域について流域治水対策の対応状況はいかがでしょうか。また、地域を広域的にまたがる河川の改良などは広域的な連携が必要と考えますが、災害が激甚化する中でどのように進めていきますか。田中建設部長に伺います。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 国民スポーツ大会に関わって3点御質問を頂戴いたしました。  まず、国民スポーツ大会における県と市町村との業務分担、協力体制についてのお尋ねでございます。  国民スポーツ大会の開催に向け設置しております県準備委員会において、施設整備、競技運営、式典など八つの分野ごとに県と会場地市町村の業務分担を定めておりまして、例えば、施設整備については、施設基準の策定や競技会場の選定は県が、各競技会場の整備は市町村が行うなど、この県準備委員会で定めた業務分担に基づき開催準備を進めてきているところでございます。  また、この業務分担に基づいて円滑に準備を進めるため、これまで県として競技会開催に関する準備推進体制についての説明会の開催や大会に向けて中央競技団体が競技会場を確認する正規視察のための準備会議の開催などを行い、市町村との協力体制の構築に意を用いているところでございます。今後も、市町村や競技団体などとの連携を密にし、国民スポーツ大会の開催に向けて準備が着実に進められるよう取り組んでまいります。  次に、諏訪地域の競技が円滑に開催されるための体制づくりについてでございます。  議員御指摘のとおり、国民スポーツ大会が開催される令和10年は御柱祭の年に当たるため、諏訪地域で競技会の運営に十分な人員が確保できないのではないかとの御懸念があることは承知しているところでございます。  競技会における役員、補助員等の人員確保の方法につきましては、今後市町村が設置する実行委員会において地域の実情を踏まえて検討していただくことになりますが、県教育委員会といたしましても、競技会が円滑に開催されるよう、大会運営ボランティアの募集への支援や高校生を対象にした競技会補助員等の派遣への協力など、開催市町村と相談しながらできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。  続いて、競技関係者の要望に応えるための県の競技施設整備支援の検討状況についてでございます。  今年度、中央競技団体による正規視察が実施されており、競技開催時の参加者の危険防止のための施設改修箇所など様々な指摘をいただいているところでございます。今後、競技会場地の市町村では、この指摘を踏まえ、競技施設の整備を進めていくことになります。  県教育委員会では、市町村が行う競技施設の整備に間に合うよう、他県の例や市町村の御意見を踏まえながら来年度からの補助金交付に向けた制度設計を現在進めているところでございます。  以上でございます。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君) 県道岡谷茅野線における大型車両の交通規制について質問をいただきました。  県道岡谷茅野線の小坂交差点から中洲神宮寺交差点までの大型車両の通行抑制対策につきましては、地域住民の安心感の向上や多発する交通事故の防止を図るため検討を重ねてきたところ、このたび規制の前提となる地域住民の合意形成が進んできたことは承知してございます。  県警察としましては、地域の合意形成と併せ、新川バイパスの交通環境整備などを見つつ、道路管理者等関係機関と連携しながら大型車両の交通規制に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には3点御質問をいただきました。  まず、県道岡谷茅野線の安全対策の状況に関するお尋ねでございます。  最近では、11月に、蓼宮橋付近において県道を走行していた自動車がガソリンスタンドに突っ込む事故が発生しております。この事故を受けて、県では、現地を確認し、蓼宮橋前後の見通しの悪いカーブ区間においてスピードの抑制を促す路面標示を引き直すこととしました。引き続き現在実施中の新川バイパスの整備を促進し、現道の交通量の転換を図るとともに、交通の状況を見ながら必要な安全対策を講じてまいります。  次に、天竜川上流域の流域治水対策の対応状況についてのお尋ねでございます。  県内の天竜川流域では、国、県、市町村が実施すべき対策の全体像を天竜川上流流域治水プロジェクトとして取りまとめ、関係者が一体となって流域治水対策を推進しております。
     例えば、諏訪地域では、氾濫を防ぐ対策として、過去に浸水被害等が発生した新川や鴨池川などの河川改修工事を防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算などを最大限活用し重点的に進めております。また、被害を軽減させる対策としては、本年度、排水ポンプ車を諏訪建設事務所に追加配備するとともに、諏訪地域の市町村との協議により、これまでに危機管理型水位計を63基、簡易型河川監視カメラを8基設置してまいりました。今後も、逃げ遅れゼロに向けた対策を進めてまいります。  さらに、住宅や事務所における貯留施設設置費用の補助制度や雨水排水ガイドラインの作成など、市町村の取組を支援する流域治水キャラバンを行い、関係者との連携を強化しながら引き続き流域治水対策を推進してまいります。  最後に、広域にまたがる河川の改良の進め方に関するお尋ねでございます。  広域にわたる河川は、上下流バランスに配慮しながら、上下流一体的に治水安全度の向上を図る必要があります。天竜川を例にすると、下流の河川整備が進むことで釜口水門の放流量を増やすことができ、結果として上流の諏訪湖周辺の浸水被害の軽減が図られることになります。このため、上流と下流の住民の皆様が共通の意識を持って一体となって天竜川の治水対策を考えることが重要になります。  本年11月に諏訪地域6市町村による諏訪湖流域治水促進期成同盟会が設立され、下流地域の同盟会の皆様と連携して天竜川の整備促進に取り組まれることは、大変意義のあるものと認識しております。県といたしましては、国や流域市町村と連携しながら、流域一体となって対策を進めてまいります。  以上でございます。       〔19番宮下克彦君登壇〕 ◆19番(宮下克彦 君) 前向きな御答弁をいただきました。  国民スポーツ大会につきましては、来年度より補助金が出て整備が進むということで、市町村の要望をしっかり聞いていただきまして、きちんとした整備をお願いしたいと考えます。  また、交通規制につきましては、道路管理者と協力して路面標示をしっかり実施していただいて、新川バイパスの整備も促進するということで、きめ細かな対応を期待しております。  天竜川の大きく捉えた流域対応で、下流域の整備によりまして上流の諏訪湖の水位の管理も進んでまいります。下流、上流の住民の皆様が協力して対策が進みますようにぜひ県の後押しをよろしくお願いしたいと存じます。  知事におかれましては、県民との対話、共創ということで提案型予算の試行に迅速に対応されており、住民の意見を聞きながら地域の課題について共創していくという知事の姿勢が生きてきていると感じております。さらにこの姿勢を拡大しまして、県民と共にさらなる対話、共創を進めていかれるよう心より要望しまして、私の一切の質問を終了いたします。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、原健児議員。       〔4番原健児君登壇〕 ◆4番(原健児 君) 二つお聞きいたします。  1、上伊那伊北地域の道路整備についてお聞きいたします。  飯田を基点とした南信州では、5年後のリニア新幹線開通に向け、今月22日には長野県駅起工式が行われます。  上伊那地域南部においても、飯田市につながる伊南バイパス、伊駒アルプスロード、伊那バイパスの設計、用地買収と、地域住民に見える形で新しい公共交通の期待が高まっています。  上伊那地域北部も、伊那バイパスにつながる箕輪バイパスが整備され、中信に向け準備がされているところでありますが、北端は伊北インターで止まってしまっています。辰野町、箕輪町、南箕輪村は、東西をつなぐ大きな道路がなく、南から北、伊那市から来た車を国道153号線で塩尻に、竜東線で岡谷に流すほかありません。  過去の災害において通行止めが発生し、大きな交通機能麻痺が実際に起きているところでございます。困難な地形を有する上伊那北部玄関口ではありますが、長年切望されているのが両小野バイパスであります。リニア新幹線、三遠南信自動車道を通じて訪れる観光客を、一般道を使い南信、東信、北信へと運ぶのは両小野バイパスです。中信の県民の皆様をリニアに運ぶのも両小野バイパスの開通にかかっていると考えます。  辰野町、塩尻市ならず、上伊那人として、災害対策、産業活性化に期待されている道路であります。南信からの風通しをよくし、上伊那、伊北が取り残されることがないよう、両小野バイパスの現状と展望を田中建設部長にお伺いいたします。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 国道153号の両小野バイパスの検討状況と今後の展望に関するお尋ねでございます。  国道153号は、重要物流道路に指定されている重要な幹線道路であります。しかし、辰野町小野地区から塩尻市北小野地区までの区間は、幅員狭小で事故も多く、安全な通行に支障を来している状況であります。  また、昨年8月の豪雨の際には、中央自動車道や並行する県道下諏訪辰野線が通行止めになったことから、国道153号に交通が集中し、渋滞が発生しました。現在、現状の課題などの調査及び検討を進めております。今後、整備方針の検討に向け、地域の皆様の御意見をお聞きしながら関係市町ともしっかり連携し、取り組んでまいります。  以上でございます。       〔4番原健児君登壇〕 ◆4番(原健児 君) 御答弁いただきました。一日も早く上伊那全体の新しい地図を書き換えていただけるようよろしくお願いいたします。  また、箕輪バイパスも、現状を見ますと、一部の区間は4車線化が完了しておらず、箕輪町内の30年取り残されたJR飯田線高架橋、南箕輪村における全線2車線化止まりでございます。こちらも4車線化の早期完了をお願いいたします。  続きまして、女性をターゲットとしたUターン就職支援策についてお聞きいたします。  私がリニアに期待するのは、上伊那地域の若者人口減少、特に、若者女性に対しての歯止めの期待です。大学、専門学校等で進学した学生に戻ってきていただきたい。地元に住みながら東京圏、大阪圏を使ってもらうシン・長野県若者ライフスタイルの確立があります。  東京、都会への憧れ、実際東京でなければ積めないキャリアもあります。しかし、長野でそのキャリアを生かせることが伝わっていない。東京暮らしの中で、長野県は働く場所ではないと確信してしまうのではないでしょうか。  若者の女性の流出はどの地方においても同様で、東北活性化研究センターが2020年に人口の社会減と女性の定着に関する意識調査というものをまとめています。東京圏に転出を希望している、または転出した若い女性の意識、考え方について情報収集・分析したものです。  若者女性意識をまとめた五つの中に、「東京圏に進出した学生の半数超は地元に戻るつもりなし」とありました。これは、高校生の頃より地元に戻る意識がないということです。ただ、これは現代が特別なわけではなく、若者として当然昔からある意識です。特別なのは、今、若い女性に戻ってきていただかなくてはならないという現実です。そのために、県やそれぞれの自治体で、SNSや銀座NAGANOなどを使い、情報発信され、頻繁に企業紹介されていますが、学生に意識を変えていただくためには、高校生の段階でUターンし地元就職を意識してもらうこと、そして、都会、東京で暮らす中で常に長野を意識してもらうことが必要だと考えております。  今ないアプローチをと仲間と議論した中で、県営による女子学生のための学生寮の設置の話となりました。継続性ある学生同士の交流が持てる学生寮が有効ではないか。これにより県情報の効率的な伝達とそこを拠点とする県の情報発信が期待できるのではないか。シン・リトル長野と呼びました。  県営学生寮については、過去に存在し、建物の老朽化により存続を断念されたと聞いておりますが、今も寮への入寮要求があることを聞いております。大学進学率50%、県外流出70%において、ソフト面だけで歯止めがかけられるものではないのではないでしょうか。  先頃県が公開した2022年度の県内出身学生のUターン就職率において、目標値45%に対し実績値は36.5%となっており、目標値との乖離が見られます。この要因はどこにあるのでしょうか。これから景気が回復していくと、Uターン率はさらに減ることでしょう。今大胆なアプローチが必要だと考えますが、現状の政策、これからの方針を、さきの要因説明も含め林産業労働部長にお伺いし、私の質問を終わりにいたします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) Uターン就職率の目標値との乖離の要因と、特に女性をターゲットにしたUターン就職を促すアプローチについてのお尋ねでございます。  県出身の大学生等のUターン就職率は、リーマンショック後に上昇し、平成23年が44.0%でしたが、その後低下基調となり、令和2年は33.8%となりました。翌令和3年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも4.6ポイント上昇し38.4%へと回復し、本年は36.5%となったところです。  しあわせ信州創造プラン2.0では、近年の最大値44.0%を基本に目標設定したところですが、景気動向と逆相関の動きとなるなど乖離が生じている状況であり、景気に左右されない創造的で魅力ある地域や産業づくりに向けて一層の対策を講じる必要性を感じております。殊に、分野別に見た労働力不足は建設業や製造業で顕著であるため、若者や女性が働きやすい職場環境づくりが求められます。  現在、県では、長野労働局とも連携し、くるみんやえるぼしの認定制度や職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度、長野県SDGs推進企業登録制度などを通じ安心して働くことができる魅力的な環境整備を促しておりますし、Uターン就職促進協定を締結している大学59校に対する情報発信や大都市圏での就活イベント等により県内企業の魅力をPRしています。  女性へのアプローチとしては、「ながのけん社員応援企業のさいと」に女性の就活応援情報を掲載しており、今週末には若手社員で結成したシューカツNAGANO応援隊の女性隊員から体験談を語ってもらうなどの事業を予定しております。長野県で暮らす、働く魅力を直接お伝えすることでUターン就職を促進できるよう取り組んでまいります。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、竹花美幸議員。       〔18番竹花美幸君登壇〕 ◆18番(竹花美幸 君) 竹花美幸でございます。まずは観光関連政策の推進についてからお聞きしてまいりたいと存じます。  県では、観光施策を抜本的に転換し、戦略的に推進することを目指して、しあわせ信州創造プラン2.0、長野県総合5か年計画を具現化するため、県として稼ぐ観光地域づくりに向けた県全体の取組の方向性を明確にし、県民、市町村、DMO、観光関連事業者等と互いに協働して取り組むための指針として「信州の観光新時代を拓く長野県観光戦略2018」を策定し、2018年度から5か年の計画で取り組んでおります。計画も最終年度をもうすぐ終えようとしておりますが、新型コロナウイルスの発生で、特に観光業と観光政策分野において大きな被害、打撃を受けました。  そこで、まずはコロナ禍が観光業に与えた影響と今後の対応策についてお伺いいたします。  令和4年度しあわせ信州創造プラン2.0政策評価報告書において、長野県観光への影響と総括の中で、2021年の観光消費額は5,154億円、長引く新型コロナウイルス感染症の影響を受け、前年2020年比で約27%、前々年2019年比で約40%減となっております。具体的な要因として考えられるものは何でしょうか。  また、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた観光ニーズの変化や課題についてどのように捉えているのかお伺いいたします。  さらに、令和2年9月にはAfterコロナ時代を見据えた観光振興方針を策定しており、新型コロナウイルスの影響による社会変革を捉えて重点的に取り組む三つの方針を定めております。  一つ目は、安全・安心な観光地域づくりとして、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策を観光地全体で対応する体制を整備。二つ目は、長期滞在型観光の推進として、地方の開放的な環境でゆったりと寛ぐ時間を提供し、新たな気付きで人生を豊かにする長期滞在型観光の展開。三つ目は、信州リピーターの獲得として、旅マエの魅力デジタル発信から旅アトのマーケティング戦略まで観光分野のDX推進によりコアな信州ファン獲得へ、です。具体的にどのような取組を行ってきたのか。また、今後の取組の方向性についてお伺いいたします。  次は、DMO、DMCについてです。  長野県観光戦略2018の戦略方針は、「世界を魅了するしあわせ観光地域づくり」です。しあわせ観光地域づくりを実現するために三つの戦略があり、観光の担い手としての経営体づくり、観光地域としての基盤づくり、世界から観光客を呼び込むインバウンド戦略が掲げられております。  中でも、地域の稼ぐ力を引き出し、地域への誇りと愛着を醸成する観光地経営の視点に立った観光地域づくりのかじ取り役としての役割を果たすDMO、DMCを形成、確立し、観光地域づくりを行うことが観光客のその地域への着目度や来訪の必然性、長野県全体の魅力度が増すという効果につながることがうたわれております。  平成29年に、県観光機構は、観光庁が創設した日本版DMOとして第1次の登録を受け、マーケティング・マネジメント対象とする区域を長野県全域とする地域連携DMOとして登録されています。県内において観光地域づくりの現場を効率的に動かしていくためのプロジェクトやマネジメントを行う観光地域づくり法人、DMO、観光地経営会社、DMCの設立状況や県における支援の取組など現況をお伺いいたします。ここまでを渡辺観光部長にお伺いいたします。  次は、観光ブランドの形成、確立に向けた取組についてです。  1点目は、観光ブランドの確立に向けては、信州の魅力ある食である果物や野菜のほか、それらを生かした商品開発も大切な要素だと考えます。農業の6次産業化への取組などによる付加価値の高い商品開発が観光消費にもつながっている事例はあるのでしょうか。また、観光消費の拡大に向け、県産農畜産物等の活用をどう進めていくのか。小林農政部長にお伺いいたします。  2点目は、日本百名山に該当する多くの峰々など四方を山岳に囲まれた長野県としては、雄大な自然を生かして観光ブランドを高め、その魅力を観光消費に結びつけていくことが重要と考えます。今後、県内の国立公園・国定公園等のコンテンツの磨き上げや受入れ環境の整備、あわせて情報発信をどのように進めていくのか。渡辺観光部長にお伺いいたします。  続いては、観光に資する道路整備と信州まつもと空港の利用促進についてです。  まず1点目です。長野県の観光を取り巻く課題としては、アンケート調査の結果から、常に交通の便、交通アクセスの充実が挙げられております。県内への滞在時間や滞在日数を増やし観光消費額を伸ばしていくために、県内観光の周遊性を高めるような道路整備をどう進めていくのか。田中建設部長にお伺いいたします。  2点目は、信州まつもと空港は、1994年のジェット化以来、累計利用者が400万人に達し、本年度の利用者も11月末までの速報値で15万8,636人。FDA就航後最多だった2019年度の実績を既に1,600人上回っているとの報道がなされ、利便性の向上が図られていることを喜ばしく思うのと同時に、さらなる発展を期待するところでございます。信州の空の玄関口である信州まつもと空港を生かした県外客やインバウンドの誘客に向け、航空便搭乗客のさらなる増加や発着便数の充実等にどう取り組んでいくのか。清水企画振興部長にお伺いいたします。  続いては、北陸新幹線の敦賀延伸についてです。  まず1点目です。北陸新幹線は、1997年に東京―長野間が長野新幹線として部分開業いたしました。その後、2015年には長野―金沢間が開業し、東京―金沢間を結んでいます。  過日、議会運営委員会の視察で福井県庁にお伺いいたしました。北陸新幹線に乗車し、特急サンダーバードに乗り継ぎ福井県へ。その先に大阪、関西があることが、将来経済的、社会的にどのような意味があるのか思いを巡らせました。  福井県庁へ到着し、議会事務局長から歓迎のお言葉を頂戴いたしましたが、開口一番、北陸新幹線の敦賀延伸が近いこと、それに伴い、軽井沢町との相互発展の協定を締結したことを熱く語られ、新幹線開業を契機として町全体が将来に向かって大きく生まれ変わるチャンスと捉えておられることが、そしてそのエネルギーがひしひしと伝わってまいりました。その熱量に触れ、長野も負けてはいられないと感じたところでございます。  在来線と北陸新幹線の乗換客は1日2万7,000人、年間980万人を見込み、その流れをさばくため、エスカレーターを26基、エレベーターは6基、巨大さが際立つ敦賀駅です。2024年春の北陸新幹線の福井県敦賀市への延伸がいよいよ目前となってまいりました。  長野―敦賀間の所要時間は、乗換えなしで1時間50分ほどとなります。新幹線の開業は、単に時間短縮や利便性向上に寄与するだけでなく、ビジネスや観光等の交流が増加するきっかけとなることから、長野県としての開業効果をどのように考えるのか。清水企画振興部長にお伺いいたします。  また、北陸新幹線が将来大阪までつながる中で、成長する関西の経済力をどのように長野県に引き込んでいくのか。将来の展望を林産業労働部長にお伺いいたします。  2点目は、北陸新幹線の延伸に向けて、福井県と軽井沢町が本年3月に観光、文化、芸術など幅広い分野での相互発展に向けた連携協定を締結しました。軽井沢では、関西圏に対して福井県とともに軽井沢の高原の魅力を発信、福井県では、首都圏に対して軽井沢とともに福井県の海の魅力を発信していくそうです。この10月末には福井市内で軽井沢の食をPRするイベントを開催するなど、福井県も軽井沢で伝統工芸や食などのPRを進めており、新幹線効果を高めるための取組を加速させております。佐久平駅周辺が目覚ましい発展を遂げているように、新幹線開業により街は大きく変わることでしょう。  協定を通じ、福井県と軽井沢の観光客をさらに増やすとともに、それぞれの地域の一層の活性化を目指していますが、軽井沢だけでよいのでしょうか。軽井沢だけでなく、沿線上のほかの地域にもお立ち寄りいただけるよう、長野県としても福井県との連携を深め、観光客誘致や観光消費を増やす取組、方策を考えていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。渡辺観光部長にお伺いいたします。  次は、小海線の利用促進に向けた取組についてです。  国土交通省の有識者検討会は、今年7月、存続が危ぶまれるローカル鉄道に関し、自治体や鉄道事業者の間でバス転換を含む見直しの協議に入るよう提言いたしました。政府は、上下分離方式の活用や、財政、税制両面での支援を通じて鉄道の競争力回復を後押しする考えを示しております。  乗客の少ない路線をめぐり、JR西日本とJR東日本は今年収支を初公表し、長野県内ではJR西管内の大糸線南小谷以北とJR東管内の飯山線、大糸線、小海線、中央東線の4路線8区間が赤字でした。有識者検討会は、JRと地元自治体に議論を促しておりますが、どの路線も地域の人々の暮らしを支える、暮らしを守る重要な路線、なくてはならぬ公共交通であります。  そこで、2点についてお聞きしたいと存じます。  まず1点目です。このような重要な役割を担うローカル鉄道の維持や支援など県として今後の役割をどのように考えるのか。阿部知事にお伺いいたします。  2点目は、山梨県北杜市の小淵沢駅から長野県小諸市の小諸駅までを結ぶ小海線についてです。小海線は、日本一標高の高い地点を走る高原鉄道です。野辺山駅は標高1,345メートルのJR線最高駅であるほか、9駅がJRの標高の高い駅ベスト9に入っております。2007年からは世界初のハイブリッド車が走っており、2017年より観光列車「HIGH RAIL 1375」が運行されています。  佐久地域を走る小海線についても、利用促進のための様々な取組がなされてきているところですが、この11月には2021年度収支も公表され、新型コロナウイルス流行前の2019年度から赤字額が最も大きいのが小海線です。  今後は、高校再編・整備計画が進み、新校への通学の影響を懸念する声も聞こえてまいります。赤字を埋める政策と同時に、小海線の利用促進、観光誘客増に向けた今後の企画立案などにさらに取り組んでいくことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。清水企画振興部長にお伺いいたします。  以上、明確な答弁をよろしくお願いいたします。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君) 私には大きく5点の御質問を頂戴しております。  まず、観光消費額減少の要因でございます。  2021年は、日本人の延べ宿泊者数が前年比で約4%増加した一方で、消費単価は37%の減となり、観光消費額減少の大きな要因となっております。これは、Go To トラベルのような全国的な需要喚起策が実施されなかったこと、また、インバウンド消費がなくなったことなど、消費額の高い宿泊旅行者を呼び込めなかったことによるものと認識しております。  次に、新型コロナウイルス感染症による観光ニーズの変化や課題でございます。  コロナ禍の影響により、密を避け自然に触れるアウトドアアクティビティーへの関心や環境保全への取組に共感して観光地を訪れるサステーナブルな旅行等のニーズが高まっていると認識しております。  今後は、これらの新たなニーズに対応した施策を検討する必要があるほか、落ち込んだ観光消費額を回復させるため、長期滞在やリピーターの獲得に資する取組の推進やインバウンドにおいても高付加価値層の獲得が必要と認識しております。  次に、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針の具体的な取組と今後の方向性でございます。  それぞれ一例を挙げさせていただければ、安全・安心な観光地域づくりにおいては、信州安全・安心な宿魅力向上事業による宿泊施設の感染防止対策に係る設備整備、スキー場でのバックカントリールールの策定支援、また、長期滞在型観光の推進、信州リピーターの獲得として信州の観光地魅力向上実践事業によるワインやサイクルツーリズムなどの取組支援、信州観光復興元年プロモーションにおいて様々な媒体を活用し、花やアウトドアなど四季ごとにテーマを変えたPRの強化などに取り組んでいるところでございます。  今後の取組については、新たな観光ニーズや課題を踏まえ、環境に配慮したサステーナブルな観光地づくりの推進、高付加価値層などターゲットを絞ったインバウンド向けプロモーションの実施などに取り組んでまいりたいと考えております。  次に、DMO等の設立状況や県の支援の現況でございます。  まず、設立状況でございますが、現在、県内では複数の市町村エリアを区域とする地域連携DMOが6法人、市町村単位の地域DMOが9法人、計15法人が登録DMOとして活動しているところでございます。県内のDMOにおいては、例えば、SDGsなど体験型プログラムの企画販売、広域的なサイクルやトレイルの商品造成など、各地域の観光戦略の下、特色を生かした活動を行っております。  支援策といたしましては、長野県観光機構にDMO形成支援センターを設置し、専門人材を通じ、関係者の連携方策や取組などを共に検討してきたところでございます。  また、県が重点支援しているハクババレーツーリズムでは、インバウンド向けの受入れ環境整備などを地域一体で進めており、昨年度から県内全DMOによる意見交換会を開催し、こうした先進的な取組を県内に波及、横展開を図っているところでございます。  次に、国立公園等のコンテンツの磨き上げや受入れ環境の整備、情報発信などをどのように進めていくかというお尋ねでございます。  コンテンツの磨き上げについては、これまで旅行会社や日本みどりのプロジェクト推進協議会等と連携し、県内の国立・国定公園においてジビエや間伐体験などを取り入れた新たなツアーを実施するとともに、参加者との意見交換などを通じ新たな商品化も検討しているところでございます。  受入れ環境の整備については、市町村とも連携し、Wi-Fi整備や多言語表記などの利用環境整備に取り組んできたほか、県の自然保護センター、ビジターセンターでは、来訪者に自然や動植物の魅力を伝えるため、機能向上を図ってきたところでございます。引き続きこうした拠点からのきめ細かな発信とともに、SNS、雑誌等の活用や、企業、学校への情報提供など効果的な発信に努めてまいります。  最後に、福井県との連携を深め、観光客等を増やす取組についてでございます。  福井県は、日本海の景勝地や海の幸など本県とは異なる魅力を有しており、相互に誘客、送客の増加が期待できるほか、連携して東京、大阪など大都市圏からの誘客を行うことも可能でございます。  これまでも、関西や北陸圏からの誘客促進を図るため、信州割SPECIALなどに合わせて、福井県などの地元新聞を活用した長野県観光のPRやJR西日本と連携した県内旅行商品の造成を進めてきたところでございます。
     先般、私も福井県の担当の方と敦賀延伸を見据えた観光誘客の取組について意見交換を行ったところであり、今後、各種キャンペーンなどを通じ、福井県をはじめ沿線地域と連携しながら周遊観光を推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君) 私には観光消費拡大に向けた県産食材の活用等について御質問をいただきました。  観光振興において、食は観光誘客を図る上で大変重要な要素の一つと考えております。これまで、6次産業化の取組では、例えば、南信州では、シードルの商品化への支援が近隣の醸造施設を巡る旅行商品の開発にもつながり、新たな観光消費への広がりを見せております。  また、今年度、県産食材を活用した集客イベント等を支援する事業を創設し、上伊那の団体による地域在来そばのPRイベントの開催や伝統野菜のトウガラシを活用した商品開発など、地域の食を観光地域づくりの分野で活用する取組を進めているところです。  さらに、関係部局が連携した営業本部の取組として、首都圏の一流シェフへの銀座NAGANOでの食材提案会や帝国ホテルでの県産食材を使用した料理提供などを通じた食の魅力発信を行っております。  今後も、こうした取組をさらに進めるとともに、本県の魅力ある食材、おいしい信州ふーどを食べられるお店の紹介など食の発信を充実させ、観光消費の拡大にもつなげてまいります。  以上でございます。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 観光に資する道路整備についてのお尋ねでございます。  県内観光の周遊性を向上させるためには道路整備が重要であると考えております。  平成30年3月に策定した信州みちビジョンにおいて観光や産業の振興を進めるみちづくりを重点分野に定め、観光の周遊性を高める道路整備として高規格道路の整備推進を取組の一つに掲げております。例えば、国によりルート検討が進められている中部横断自動車道の長坂―八千穂間や、県が調査検討を進めている構想路線の松本佐久連絡道路などが整備されることで、佐久地域のみならず、県内の観光地への周遊性が高まるとともに、県外からの観光客の入り込みの増加に大いに効果があるものと考えております。  以上でございます。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君) 私には3点お尋ねをいただきました。  まず、松本空港の搭乗客の増加や発着便数の充実に向けた取組についてであります。  足元の空港利用者数を見ますと、議員からもお話がありましたように、コロナ禍からの回復が顕著になりつつあり、コロナ前の令和元年度1年間の利用者数を、今年度は11月末までの8か月間で既に上回ったところです。  これには、神戸線の複便化や札幌丘珠線の夏ダイヤ期間全体にわたっての運航実現が大きく寄与しているほか、全国旅行支援も追い風になっているものと考えております。引き続き就航先の自治体や観光協会、県内においても様々な関係者との連携により広告宣伝や旅行商品造成支援などに取り組み、さらなる搭乗客の増加を図ってまいります。  加えまして、インバウンド拡大を見据えた国際チャーター便の誘致など、発着便数の拡大を図るため、航空会社や旅行会社に対して積極的な働きかけを行い、空港の一層の利用促進に努めてまいります。  次に、北陸新幹線敦賀延伸の開業効果についてであります。  北陸新幹線は、大雪の際でもこれまでほとんど運休したことがない、安全で安定した交通基盤であります。  平成27年の長野―金沢延伸においては、開業前と台風19号及びコロナの影響がない平成30年度までの平均とを比較すると、北陸新幹線の年間輸送人員は約2.6倍に増加、富山県、石川県、福井県の北陸3県から長野県への年間宿泊者数が約1割増加、長野県内の大学、短大への年間入学者数が約6割増加するなど、本県の活性化に大きく寄与しているところです。  また、福井県によりますと、金沢―敦賀間の開業により、長野―敦賀間は60分の短縮と試算をされております。これらのことから、敦賀延伸によりまして、金沢以西の北陸・関西圏との交流が一層拡大することが見込まれ、これまでの延伸と同様に、本県経済や観光に大きな効果があるものと考えております。  最後に、小海線の利用促進、観光誘客増に向けた取組であります。  長野県と山梨県を結ぶ小海線は、地域住民にとって重要な生活路線であるとともに、八ヶ岳の雄大な景色の中を駆け抜ける高原鉄道として観光客にも親しまれております。県は、小海線沿線地域活性化協議会に副会長として参画し、沿線の自治体や経済団体などと連携しながら沿線の利用促進や観光振興に取り組んでいるところです。  具体的には、観光路線としての魅力向上を図るため、元気づくり支援金による沿線観光地PR動画制作への支援、佐久地域振興局とJR東日本の連携によるサイクルトレインの運行、活性化協議会における観光列車「HIGH RAIL 1375」のおもてなしなどを行っております。また、小海線の利便性向上に向けて、JR東日本に対しまして列車の接続改善などの要望活動も行っております。今後も、引き続き山梨県や沿線自治体などと十分連携を図りながら、観光誘客に向けた取組や沿線地域の活性化に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 北陸新幹線の延長に伴い関西の経済力をどのように本県に引き込むかについてのお尋ねでございます。  北陸新幹線のさらなる延伸により、長野県からの所要時間は、京都駅まで2時間10分、大阪駅まで2時間25分と、京都、大阪共に1時間以上の短縮が実現できます。  経済センサスや県民・府民経済計算によると、関西地域は、全国に占めるシェアが、人口で16.3%、総生産額で15.3%、製造業事業所数で17.6%を占める大経済圏であり、当該地域との間で企業間取引や人的交流の拡大を図ることは本県経済にとって大変意義深いものと認識しております。  こうした中、県の大阪事務所のサポートにより、サントリーグループが大町市にサントリー天然水北アルプス信濃の森工場を新設、10月には公益財団法人京都工業会19社の代表者が来県され、工業技術総合センターのAI活用/IoTデバイス事業化・開発センターや安曇野市のVAIO株式会社、セイコーエプソンソリューションセンターなどを視察、11月には成長が期待される医療分野で大きなシェアを持つニプロ株式会社総合研究所に対し新技術、新工法を提案する展示商談会を開催し36社が参加するなど、産業投資やビジネスマッチングの促進に努めているところです。  また、移住や二地域居住、副業やワーケーションなど、女性、若者、高度人材を呼び込む施策を進める上でも移動時間の短縮によるプラス効果が期待されます。さらに、関西経済は、2025年の大阪・関西万博の開催で国際的な存在感のさらなる高まりが期待されております。当該地域とのつながり、絆を一層確かなものとし、本県経済の発展につなげてまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私にはローカル鉄道の維持や支援に関する今後の県の役割という御質問をいただきました。  地方における鉄道は、通勤や通学など日常の移動手段として地域の暮らしを支えるとともに、産業や観光など地域の振興に寄与している大変重要な交通機関だというふうに考えています。  このため、県としては、県内の地域鉄道事業者4社に対しまして、安全性向上のための設備投資に対し国や沿線市町村と協調して補助を行ったり、また、今般のようなコロナ禍による大幅な減収や原油価格等高騰対策として追加的な支援を行ったり、さらには、大規模災害時における災害復旧やバスの代替輸送に対する緊急的な支援、こうしたことを行ってきております。今後とも、こうした対策、対応を進めていきたいと思っております。  一方で、JR各社については、全国的な鉄道ネットワークを守っていただいているわけであります。分割民営化する際には、国全体でJR各社を応援してきたわけであります。そういう意味では、鉄道ネットワークの維持という観点でしっかり社会的な責任を果たしていっていただきたいというふうに考えています。  鉄道事業については、許認可権等は基本的に国が持っているわけであります。より分権化していただきたいというふうに思いますが、公共交通全般に国が許認可権を持っているわけでありまして、特に、鉄道については、今申し上げたようにJRを中心に全国的なネットワークとして機能しているわけでありますので、国においてはこれまで以上に積極的に鉄道の在り方を検討してもらう必要があるというふうに思っています。  鉄道ネットワークを全国的な観点でどのように維持していくのか。また、鉄道事業に対してどういう考え方で公費を投入していくのか。こうした基本的な考え方については国において責任を持って示してもらうよう求めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔18番竹花美幸君登壇〕 ◆18番(竹花美幸 君) 御答弁賜りました。  台風第19号災害、新型コロナウイルス感染症、物価高騰等により、県民の皆様の暮らしはますます厳しさが増しております。これまでと同じ考え方、支援では通用しない時代に入ってきているように感じます。私どもの役割といたしましては、行政のできることの可能性を広げていくことではないかと思います。そのために今後も挑んでまいりたいと存じます。  特に、地域の皆様の暮らしを守る小海線をはじめとしたローカル鉄道の維持支援につきましてお力を尽くしていただきますようお願いを申し上げまして、私の本日の一般質問は終了させていただきます。ありがとう存じました。 ○議長(丸山栄一 君) この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時45分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(髙島陽子 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小林君男議員。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君) 史上空前の物価上昇の中、深刻さが増している県民生活を抜本的に救済していくことは県政にとって急務で大切な役割となっています。今、経済を立て直し、物価高から暮らしや営業を守るには、消費税の減税とともに、政府も財界も言及している賃金の引上げが重要で効果のある施策です。おととい発表の毎月勤労統計調査においても、実質賃金の大幅な目減りで、物価高に賃金が追いつかない状況がはっきりと示されております。  また、政府、日銀は、この円安と物価高の大きな要因となっているアベノミクス、異次元の金融緩和を継続させ、事態をなお悪化させる矛盾した金融政策を続けています。  また、政府は、構造的な賃上げをとしているものの、長びくコロナ禍、物価、原材料の高騰、過剰債務など三重苦で苦悩する中小・小規模事業者に対する支援策は、中身がなく、そこで働く労働者の賃上げは全くといっていいほど期待ができない状況であります。  そこで、知事に伺います。  一つ目。物価高騰に対する最も有効な施策、消費税減税を国に要請すべきとの9月議会における私の質問に対し、知事は、社会保障の財源やその代替財源の確保がないことなどから、減税を要請する考えを全くという言葉を使って強く否定されました。  そこで、私は、行き過ぎた減税と円安で史上最大の内部留保をため込む大企業と株価のつり上げで資産も大きく膨れ上がっている富裕層の方々から当たり前の税金をいただく財源で消費税を引き下げる政策転換をと主張しました。この財源確保による消費税減税の実現で県民生活救済に一歩踏み出すことができますが、見解を伺います。  二つ目。総務省調査を基にした試算によると、年間1世帯当たり13万円の家計負担増が示されています。知事は、県民に直接届く給付がないに等しい状況の中で、物価高騰に対して県民の暮らしを守ることに有効な施策をどのように考え進めようとしているのか県民に具体的に説明すべきであり、ここで表明していただきたい。  三つ目。物価高から暮らしと経済を立て直すためには、多数を占める中小企業で働く皆さんの賃上げ策が緊急で効果のある対策です。県政においてもこの間の中小企業支援策についての効果をどのように認識しているのか伺います。  また、来年度導入が予定されているインボイス制度は、小規模事業者に深刻な負担増を強いるものとなりますが、導入に対する見解を伺います。  次に、産業労働部長に伺います。  1、以前からの賃上げ減税といっても、赤字で苦しみ、コロナ禍での借入れがいっぱいの企業には何の役割も果たしていません。従業員の社会保険料の企業負担分を軽減するなど賃上げに結びつく実効性のある支援策が必要ですが、県としての考え方を伺います。  2、資金繰りへの支援制度の継続、拡充とともに、早急に中小企業の過剰債務を軽減、免除する仕組みをつくるなど、県には、今まで以上に中小企業支援に真剣に取り組み、従業員の賃上げができる環境づくりが求められます。ゼロゼロ融資の別枠化や新たな資金需要への対応など現在進めている中小企業支援策を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には4点御質問をいただきました。  まず、消費税減税についてであります。  9月県議会におきまして、引用いただきましたように、国に対して単純に消費税減税を求めるという考えは全くないというお話をさせてもらいました。単純にというのは、今引用いただきましたように、社会保障関係経費を削るのか、代替税源を確保するのか、あるいは赤字国債を増やすのかということで、小林議員からは、いわゆる大企業と富裕層に対する課税強化という御指摘かと思います。  税の在り方として、公平性、中立性をしっかり議論しなければいけないわけでありますけれども、今まさに経済で求められているのは、議員の御質問にもありましたように、経済を好循環にしていくことだというふうに思います。そのためには、オーストラリアの話もここでさせていただきましたけれども、一定程度物価は上がっていくけれども賃金がしっかり上がっていく、そういう構造をつくっていかなければいけないというふうに思います。そうした転換の中で必要な財政的支援をし、しっかり生活者や企業を支えていくということが重要だというふうに思っております。  消費税の減税は、この今の局面において、県民生活を守っていくという観点ではむしろ時間がかかる。国民全体のコンセンサスが必要になってきますし、非常に大がかりな対策になりますので、当面歳出面でしっかり対応していくということが必要だというふうに考えています。  加えて、この税の考え方としては、御指摘のとおり、当然応能負担の原則ということもあるわけでありますが、その一方で、その応益の側面も考えていかなければいけません。単にお金がある人にどんどん課税すればいいということではなくて、例えば企業においてはそうしたものを賃金の引上げに活用してもらうことも含めて、経済全体の在り方を考えながら適正な課税の在り方を考えていかなければいけません。  私としては、御指摘のような取組で直ちに消費税を減税していくということが今の局面を乗り切る上での望ましい政策だというふうには考えておりません。  続きまして、物価高騰に対して県民の皆様方の暮らしを守るための有効な施策をどう考え、進めようとしているのか、県民の皆さんに具体的に説明すべきだという御質問であります。  これまで、価格高騰緊急対策につきましては、第一弾から第三弾までその都度全体像を分かりやすくお示ししてきたところであります。そうした中で、生活者への支援ということについては、この価格高騰緊急対策の大きな柱として位置づけ、取り組んできたところであります。  御指摘のとおり、この価格高騰が全ての県民の皆様方の生活に影響を与えているということは十分承知しておりますが、我々の政策も県民の皆様方からお預かりしている税金で実行しているわけでありますので、どこに重点を置くのかということをしっかり考えなければばらまきに近い政策になってしまうというふうに考えております。  私ども長野県としては、まずは生活に欠かせない食料品の支援や光熱費の高騰で大きな影響を受けていらっしゃる比較的所得の低い方への直接的な支援に重点化して取り組ませていただいているところであります。  一方、省エネ性能の高い家電製品の購入支援やプレミアム付食事券の発行については、生活者全般への支援にもつながるものでありますが、これは、単に支援ということのみならず、中長期的な観点でゼロカーボン社会の実現や飲食事業者への支援と、そうした複合的な目的を持って進めさせていただいているところであります。  今後とも、県民の皆様方が今非常に厳しい状況に置かれているということを十分認識しながらも、税としての最大限有効な使い道としてどうあるべきかということを真剣に検討しながら対策を講じてまいりたいと考えております。  続きまして、中小企業における賃上げに向けた県の支援策とその効果という御質問であります。  中小企業の皆様方が持続可能な形で賃上げを行っていただく上で、一つはサプライチェーン全体を通じた付加価値の向上ということが必要でありますし、もう一つは、増嵩しているコストを適正に製品・サービス価格に転嫁していただくことが重要だというふうに思っております。  こうした観点から、例えば国の業務改善助成金や県のプラス補助金によります最低賃金引上げの支援や、価格決定力があるような技術や製品、サービスの開発に対する支援、さらには成長期待分野等への展開や事業規模の拡大への支援、そして、エネルギーコストの削減や生産設備の導入、更新、DXの推進といった生産効率の向上に結びつくような支援、さらには人材の育成確保、こうした取組、支援を行ってきたところであります。  こうした状況の中で、日銀松本支店の11月の金融経済動向によりますと、一部に弱い動きが見られるものの、持ち直しの動きが続いているとされておりますし、10月の有効求人倍率は1.59倍ということで引き続き高い水準であります。さらに、毎月勤労統計調査によれば、決まって支払う給与については前年同月比で9か月連続の上昇という状況になっています。引き続き働く皆様方の賃金が上がるように、そして中小企業の活動がしっかりと維持発展できるように県として取り組んでまいります。  続きまして、インボイス制度の導入についての見解という御質問であります。  インボイス制度は、消費税が10%と8%という複数税率の下で事業者が消費税を適正に申告いただくために必要な制度だというふうに考えておりまして、令和5年10月の円滑な制度開始に向けた取組が重要だというふうに考えております。中小企業庁の補助事業におきましては、令和4年度から会計ソフトなどの整備に対する補助率の引上げや、補助対象をパソコンやレジ等にも拡大するなど支援の強化が図られております。  また、免税事業者におきましても、直ちに取引から排除されるようなことがないよう、制度移行後も6年間は免税事業者からの仕入れについても一定の割合を控除できる経過措置が設けられているところであります。  県としても、事業者の皆様方に御理解をいただくため、これまでも県のホームページやSNSのほか経済団体や税理士会等を通じて制度の周知を図っているところであります。引き続き商工会や商工会議所をはじめ関係団体と連携して、こうした補助制度の紹介や経営相談等の支援を積極的に行ってまいります。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 2点御質問いただきました。  初めに、賃金引上げに結びつく実効性のある支援策に関してでございます。  議員御指摘の経営上の損失が生じている企業に対しては、まずは経営改善により収支の均衡を図りつつ、生産性の向上を通じて成長軌道に乗ることができるよう中長期的な視点でサポートしていくことが重要であると認識しております。  県といたしましては、長期化するコロナ禍や物価高騰に苦しんでおられる中小企業への支援について、全国知事を通じて、中小企業の資金繰りの支援の継続、強化、収益力改善、事業再生、再チャレンジを総合的に支援する中小企業活性化パッケージNEXTの強力な推進、需要低迷に直面している飲食事業者や農林漁業者、観光事業者が経営を維持できるよう、支援策の一層の充実を国に緊急提言し、10月28日に閣議決定された総合経済対策に関連施策が盛り込まれたところでございます。県といたしましては、国の支援策の活用を含め、昨日発表した総合経済対策を速やかに実行に移すなど、引き続き県内事業者の経営支援に当たってまいります。  次に、現在進めている中小企業に対する金融支援策についてでございます。  現在国では金融機関に対して事業者に寄り添った資金繰り支援に努めることを求めており、県内の金融機関においては既に趣旨に沿った適切な対応をいただいております。  また、県中小企業融資制度資金においては、本年4月にゼロゼロ融資を含め保証付融資全般を借り換えることができる経営健全化支援資金(新型コロナ向け伴走支援型)を創設しており、10月末の利用実績は340件、56億円余となっているところであり、多くの方に御利用いただいております。また、今年3月以降、ゼロゼロ融資に関し制度を変更し、貸付期間の延長等の条件変更に柔軟に対応してきており、10月末現在で127件の条件変更に対応したところでございます。さらに、資金需要が高まる年末に向けては、県庁及び地域振興局に年末相談窓口を設置しているところです。  今後とも、金融機関等と協調しながら個々の企業の相談に丁寧に対応するとともに、条件変更や借換え需要等の状況を十分把握し、必要な支援策を検討してまいります。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君) 今回の国の補正予算は、物価高騰から国民の暮らしを守るという点で全く不十分です。県民の暮らしの悲鳴に応え、全ての物価を引き下げる消費税減税、小規模事業者に負担増を強いるインボイス制度の中止を国に強く求めるとともに、中小企業で働く皆さんの賃上げ実現のための施策実現を知事に強力に要請し、次の質問に移ります。
     加齢性難聴について、過去からの一般質問などで補聴器購入の補助事業に対する県の考え方を聞いてきました。補聴器の購入は1台40万円を超えるものもあり、年金で暮らす高齢者には重い負担となっています。加齢性難聴は認知症の危険因子である等の専門家の指摘もあり、この補助事業は健康寿命の延伸や国保料軽減にも大きく貢献するものと言われています。  そこで、健康福祉部長に伺います。  1、兵庫県では、今年度から加齢性難聴、有病者の補聴器使用と社会参加活動との関連性の調査を開始し、2万円の補助をしています。また、全国では116、県内でも9の市町村で補聴器助成制度に取り組まれてきています。高齢者の難聴克服事業は、高齢者を孤立させず、情報取得に差があってはならないとする人権を尊重する事業であると捉えますが、見解を伺います。  2、この補助事業における財源について、持続可能な制度を創設することは非常に難しいとの答弁ですが、どのような財源計算のシミュレートをしているのか。詳しく説明してください。  3、補聴器の購入費用に係る医療費控除についての県の認識並びに県民への周知はされているのか伺います。また、特定健診の聴力検査は含まれていませんが、受診勧奨を具体的にどのように進めているのか伺います。  最後に、知事に伺います。  県は、これまで、補聴器による認知機能低下予防の効果について、一定のエビデンスが実証されれば国での制度化が望ましいと主体性のない冷たい対応でありましたが、例えば、毎年出される財源見通しや中期財政試算で厳しい厳しいと言いながらも、財政の目安とも言える基金残高は中期財政試算額を大幅に上回っており、補聴器購入補助事業を展開しても健全な財政運営に支障を来すものとは考えられません。  知事は、至るところで、国の施策を待つことなく市町村と協力し、県民の命と暮らしを守ると言われており、物価高騰や年金引下げのダブルパンチにある高齢者の生活救済として、県内の補助制度がある市町村を後押しするため上乗せ補助制度化するなど、ぜひ県としても補聴器購入に対する補助事業に取り組み、温かい県政にすべきと考えますが、見解を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 補聴器購入補助事業につきまして私には3点御質問を頂戴しております。  まず、こうした事業に対する県の考え方についてでございます。  高度難聴あるいは重度難聴の方につきましては、周囲の方との意思の疎通や耳からの情報の取得に大きな支障があり、このため、身体障がいの認定基準上、補聴器の購入費用に対する公費負担の対象とされております。  これに対しまして、軽度・中等度難聴の方については、高度、重度の方と比較すると意思疎通の困難さは低い状況であり、医師が補聴器の装着を必要と認めた方について補聴器の購入費用が所得税の医療費控除の対象となるという制度を除きまして、現在、特段の支援はない状況でございます。  ただし、昨年度の同様の御質問への答弁でも申し上げてまいりましたとおり、加齢性難聴は認知症の危険因子の一つとの説がございまして、県としてもその点については注視しております。補聴器の装着が認知症予防に効果があることが実証されれば、必要性についての評価も当然変わってくるものと考えております。  次に、事業を実施した場合の財政負担についての御質問でございます。  国立長寿医療研究センターによりますと、全国の70歳以上の方のうち日本聴覚医学会の基準で難聴とされている25デシベル以上でないと聞き取れない方、軽度難聴の方を含めてでございますが、6割を超えると推計されております。  長野県の70歳以上の高齢者は約53万人であり、この推計を基にすると、難聴の方は30万人を超えると推定されます。仮にこの方々全員に2万円を補助するとした場合、総事業費ベースで62億円余の財源が必要となります。市町村にも負担をしていただくなど制度の構築の仕方によって必要額は変動してまいりますが、こうした方々を広く対象にする場合は大きな財政負担を伴うものと考えております。  最後に、補聴器の医療費控除の周知及び聴力検査の受診勧奨についての御質問でございます。  先ほども申し上げましたが、医師によって補聴器の装着が必要とされた方には、所得税の算定上、所得から補聴器の購入費用の一部が控除できることとされており、必要な制度であると認識をしております。  医療費控除の制度につきましては、県が作成している「障がいのある方の自立支援のしおり」に記載しており、ホームページ等で県民の皆様にお知らせしております。ただし、この制度をさらに活用していただくためには、分かりやすく周知をしていく必要があると考えておりまして、今後対象となる補聴器の購入費用についての詳細な記載を加えるなど、情報発信の充実を図りたいと考えております。  また、聴力検査の受診勧奨につきましては、信州ACEプロジェクトの取組によりまして検査を定期的に受けることの重要性について普及啓発を図っているところでございまして、こうした取組を通じて必要な方への受診を促進してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には補聴器の購入費補助事業の制度化について御質問をいただきました。  重度あるいは高度の難聴者の方については、身体障がい者としてこの補聴器の費用についても公費負担とされているところであります。それ以外の方々に対してどう対応するかという問題でありますが、主体性のない冷たい対応だということで御批判いただいたことはしっかり受け止めなければいけないと思いますけれども、決してそんなつもりはありません。これは、意義や必要性、限られた財源をどう使うか、さらには国や市町村との役割分担を私の立場としてはしっかり考えていかなければなりません。ありとあらゆる御要望をいただきますので、それを全てイエスと言っていると幾ら税金を徴収しても足りないという状況になってしまいます。  今申し上げたように、高度、重度の難聴者の方については制度があるわけであります。  一方で、国においては、この難聴の方の補聴器の装着による認知症の予防効果について研究されているというふうに伺っています。また、国の制度としてこの補聴器の費用の公費負担制度があり、また、市町村レベルで独自のお取組が進んでいるという状況であります。  こうしたことを全体的に考えると、私どもが今行わなければいけないのは、まずは国においてしっかりこうした研究を進めてもらうということであります。これまでも国に対して支援対象の拡大について求めてきておりますので、引き続きこの支援の対象者をより広げるように国に対してしっかり要請していきたいというふうに思います。  県民の皆様方の御要望を全て満たすことはなかなか難しい状況でありますけれども、しかしながら、県民の皆様方の思いを受け止めて改善できるようにしっかり取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君) 部長答弁の30万人というオーバーなシミュレートはちょっと行き過ぎた計算ではないかと思います。  知事、いかがでしょうか。しあわせ創造プラン2.0の総仕上げの事業として、この補聴器購入補助事業に取り組み、誰にでも訪れる高齢者に優しいほっこりとした信州をつくり上げていくことを要望して、私の質問を終わります。 ○副議長(髙島陽子 君) 次に、加藤康治議員。       〔6番加藤康治君登壇〕 ◆6番(加藤康治 君) 初めに、所有者不明土地の解消について伺います。  登記簿を見ただけでは所有者が直ちに判明しない、または判明しても連絡がつかない、いわゆる所有者不明土地が全国的に問題となっています。不動産の所有者に相続が発生しても登記されないことで所有者不明土地が増加し、公共事業や民間の取引を妨げたり管理されないことにより近隣に悪影響が及びます。  国土交通省の調査によりますと、令和2年現在で所有者不明土地の割合は24%で、その原因の約6割が相続登記の未了となっています。  所有者不明土地の解消に向けた施策の一つとして、昨年4月に不動産登記法が改正され、これまで任意であった相続登記が義務化されることとなりました。義務化については、令和6年4月から施行されますが、法施行前に発生している相続にも遡って適用されるため、実質既にスタートしているともいえます。  所有者不明土地問題は、土地の適切な管理や利用を妨げ、県土の保全にも関わるものであり、将来への先送りは許されません。相続登記の義務化は広く県民に影響するものであり、新しい制度の円滑な実施のためにはその内容や意義について広く県民の理解を得ることが必要であることから、周知や広報が重要と考えます。  そこで、所有者不明土地の解消に向けた県の取組状況について伺うとともに、相続登記の義務化について県としても独自に広報を行うべきと考えるがいかがか、伺います。  所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律における都道府県の責務として、市町村の責務が十分に果たされるよう、市町村相互間の連絡調整を行うとともに、市町村に対し、市町村の区域を超えた広域的な見地からの助言その他の援助を行うよう努めなければならないとされていることを踏まえ、市町村の取組による地域差が出ないよう県としても取り組むべきと考えるが、いかがか。以上を企画振興部長に伺います。  次に、成年後見制度について伺います。  成年後見制度は、民法の改正等により平成12年に誕生し、認知症や知的障がい、精神障がいにより財産管理や日常生活に支障がある方の法律行為を支える制度です。  平成29年3月、国において、成年後見制度利用促進法に基づく基本計画が策定され、本年第二期成年後見制度利用促進基本計画が発表されました。その中には、地域連携ネットワークづくりの推進として、都道府県の機能強化により地域連携ネットワークを全市町村で早期に整備することや、地域連携ネットワークの計画的な整備のため、全市町村で基本計画を早期に策定すること、市民後見人や成年後見人が法人である法人後見の担い手の育成が盛り込まれています。このうち、法人後見の担い手の育成については、令和6年度までに都道府県による育成方針の策定や養成研修の実施について第二期計画の工程表で設定されています。  成年後見制度に対する意識については、市町村ごとに差が見られたり、人的、経済的に負担感が大きいと感じている町村が多いと見受けられる状況があり、特に、担い手確保の取組として、県が県社会福祉協議会等と連携し、法人後見についての具体的な支援策を講じることが急がれるのではないかと考えます。  他県の状況を見ますと、香川県では、全県において法人後見に取り組むことや、被後見人等が生活する地域の市町村社協と連携して法人後見に取り組む必要性を踏まえ、弁護士や社会福祉士、県社協が中心となって法人を設立し、市町村単位では対応が難しい案件について法人後見を受任する取組が行われています。  そこで、お伺いします。  本県における法人後見の受任体制の状況について伺います。また、市町村レベルでの団体で対応が困難な事案等については県レベルの団体が法人後見を受任する仕組みづくりについて検討を行うなど、県内どこに住んでいても法人後見を受けられる状況を構築すべきと考えるがいかがか、伺います。  さらに、市民後見人の研修や育成、法人後見の担い手の確保等や、市町村職員を含めた関係者の資質の向上に関する施策などについて県が主体となって取り組むなど、市民後見人の養成を積極的に行うべきと考えるが、いかがか。以上を健康福祉部長に伺います。  次に、物価高騰対策としてのLPガス事業者への支援について伺います。  物価の高騰により、県民の皆様の生活は大変苦しい状況に置かれており、県民生活を断じて守っていかなければなりません。  こうした物価高やコロナ禍などから国民生活を守るため、政府は、10月28日に総合経済対策を閣議決定し、経済対策を進めるための国の補正予算も成立しました。今回の総合経済対策には、光熱費の負担軽減や子育て支援策の拡充などが盛り込まれています。このうち、高騰する光熱費や燃油費の負担軽減に向け、政府は、生活に欠かせない電気やガス料金、ガソリンなどの燃油補助金の支援を実施します。  今回の支援策により、来年1月から9月にかけて、標準的な世帯で総額4万5,000円程度が負担軽減となります。ガス料金への支援のうち、都市ガスについては利用者への直接的な負担軽減、LPガスについては事業者への補助金の交付により価格上昇を抑える対策を行うこととなりました。  長野県は、全世帯の約7割でLPガスが利用されている状況があることを踏まえると、県としても利用者のLPガス価格の上昇抑制に向けた支援策を講じるべきと考えます。そこで、国や県が行うLPガス事業者への支援策について県としても事業者へ広く周知すべきと考えますが、どのように行っていくか。また、LPガスの価格上昇の抑制につなげるため、LPガス事業者のコスト削減等に向けた経営支援策の周知や相談対応について県としても積極的に行うべきと考えるが、いかがか。産業労働部長に伺います。  次に、出産・子育て支援について伺います。  皆様が安心して子供を産み育てることができる社会を築くため、結婚から妊娠、出産、子育て、教育までの切れ目のない支援の充実が重要と考えます。現在、ライフステージや子供の年齢に応じた様々な支援策が行われていますが、現状を見ると、妊娠からゼロから2歳児までの支援が手薄な状況です。  このような状況を踏まえ、今回の国の総合経済対策に盛り込まれた出産・子育て応援交付金事業では、妊娠と出産の届出時における計10万円相当の給付による経済的支援とともに、妊娠時からの伴走型相談支援を一体的なパッケージで継続的に実施することが決定しました。育児の不安を和らげ、孤立を防ぐことが目的であり、今後事業主体である市町村ごとに支援策が検討されます。  そこで、経済的支援の実施方法として電子クーポンの活用が考えられますが、単独では実施が難しい市町村については、県内でサービスの差が生じないよう県が主導し、広域連携など効率的な実施方法を検討すべきと考えるが、いかがか。こども若者局長に伺います。  また、妊娠時からの伴走型相談支援の意義や必要性についての御所見、人材確保など想定される課題に対する市町村への支援の方向性について知事に伺います。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君) 私には所有者不明土地の解消に関してお尋ねをいただきました。  まず、取組の現状についてであります。  所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法では、国は施策の策定実施や地方公共団体等の支援、国民の理解を深めるための広報活動を行い、市町村は所有者不明土地を利用して公園、広場等を整備する地域福利増進事業の主な実施主体として想定されているほか、所有者不明土地対策計画の作成を担う主体として位置づけられております。  一方、県は、市町村等が行う地域福利増進事業における所有者不明土地の使用権取得等の裁定を行うこととされておりますほか、市町村相互間の連絡調整や広域的見地からの助言等を行うこととされているところです。現在までのところ県に対して裁定申請の実績はない一方、市町村からの制度全般に関する相談を数件受け付け、助言を行ってきております。  次に、相続登記の義務化に関する広報についてでありますが、国において義務化に関する様々な周知、広報活動が行われているところです。  また、本年10月には、長野地方法務局長から義務化の周知について県に協力依頼があり、市町村が発行する固定資産税の納税通知書等へのチラシの同封や広報誌への掲載等を県として市町村に依頼したところです。今後県においても様々な媒体による広報について検討してまいります。  最後に、県が市町村の支援に取り組むことについてでありますが、さきに申し上げましたとおり、法令上、県は助言その他の援助を行うなど市町村の支援を行うよう努めることとされているところです。今後、県では、所有者不明土地の利用の円滑化等が進むよう、使用権設定等に関する相談に応じるほか、具体的な裁定申請があれば法令に基づいて的確に対応していくことはもちろんでございますが、加えまして、市町村職員に対する研修会等を開催するなど市町村の取組に地域差が出ないよう支援を行ってまいります。  私からは以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 私には成年後見制度につきまして御質問をいただきました。  まず、成年後見制度の法人後見の受任体制についてでございます。  法人後見は、家庭裁判所の指定により、社会福祉法人やNPO法人等が成年後見人として活動ができるという制度でございますが、本県では、18の市町村社会福祉協議会が管内及び周辺市町村を対象として法人後見を受任できる体制を整備しております。  法人後見を含む成年後見制度を県内どの地域においても利用できる体制を構築していくため、県では、県社協の中に成年後見制度の利用促進を図るアドバイザーを配置し、市町村社協へ訪問を行い、法人後見の受任体制構築に向けた助言指導を行っているところでございます。  加えて、法人後見を行う市町村社協等を構成員とした法人後見推進会議を設置し、関係機関との連携や相続、不動産への対応など実務面の情報共有等を行っております。  こうしたアドバイザーの派遣や法人後見推進会議を通じまして、まずは市町村レベルで法人後見を受けられる体制を構築するために県社協が行う取組を支援してまいりたいと考えております。  次に、市民後見人の積極的な養成についての御質問でございます。  市民後見人は、弁護士や司法書士などの専門的資格を持たない親族以外の後見人であり、一定期間の養成研修を経た後、家庭裁判所から指名を受けた場合に後見業務を担っていただくものでございます。今後、身寄りのない高齢者など制度利用者の増加が見込まれる中で市民後見人の役割は大きくなっており、その養成は重要であると認識しております。  県内には、市町村もしくは圏域ごとに成年後見制度の普及促進や受任調整等を担う成年後見支援センターが17か所設置され、そのうち5か所で市民後見人の養成研修を実施し、これまでに228人が修了しているところでございます。県では、県社協に委託いたしまして、成年後見支援センターにおいて市民後見人の養成研修に携わる職員の資質向上に関する研修会を開催しておりまして、そのような取組の一層の充実を通じまして市民後見人の養成を積極的に支援してまいります。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) LPガス事業者への支援策の周知とコスト削減に向けた経営支援についてのお尋ねでございます。  現在、県内のLPガス事業者は362社で、その消費者は約62万7,000戸と報告されており、県全体の約7割の世帯の暮らしを支える重要な産業となっております。LPガス事業者の経営コストは人件費、配送費、設備費が大半を占めることから、国の経済対策では、LPガスの配送の合理化や大型ガスタンクなどの設備導入の補助金が盛り込まれたところです。  こうした中、県といたしましては、県プラス補助金による支援を行っており、例えば、スマートメーターの導入等による事業者の経営改善につなげているほか、本定例会で予算の増額を提案させていただいております中小企業エネルギーコスト削減助成金により事業者のボイラーや暖房設備の更新等を支援しているところです。  こうした国や県の施策については、既に先月、長野県LPガス協会と情報共有、意見交換したところですが、引き続き協会を通じて事業者に制度を周知するほか、各地域振興局の産業・雇用総合サポートセンターや県産業振興機構のよろず支援拠点において事業者への周知、相談対応を行ってまいります。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には出産・子育て応援交付金事業における広域連携について御質問をいただきました。  出産・子育て応援交付金事業の経済的支援である出産・子育て応援ギフトにつきましては、例えば、出産育児関連商品の商品券やクーポン、妊婦健診の交通費やベビー用品等の費用助成、産後ケア、一時預かり、家事支援サービス等の利用料助成や利用料減免などが国から例示されているところでございますが、具体的な支給方法や実施方法につきましては、まずは事業の実施主体である市町村が地域の実情、状況に応じまして検討いただくものと考えております。  しかしながら、議員御指摘のとおり、広域的に行うほうが効率的、効果的にサービス提供を行うことができる場合も考えられることから、県としましても、今後市町村の意向を調査した上で、電子クーポンの活用に関することも含め広域連携による方策などについても積極的に検討してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には伴走型相談支援の意義や必要性についての所見と想定される課題に対する市町村への支援の方向性という御質問をいただきました。  核家族化が進行し、地域間のつながりも希薄となっている中、支援が手薄となっているゼロ歳から2歳の子供さんを抱える家庭において、子育ての孤立感や不安感を抱かれている御家庭は少なくないというふうに思っております。ゼロ歳から2歳の低年齢期に焦点を当て、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援を継続的に実施していくことは、こうした方々の出産、子育ての安心感につながるとともに、ニーズに即した必要な支援メニューを確実に妊婦や子育て家庭に届けることが可能となりますことから、まさに妊婦の方、子育て家庭から求められている支援内容だというふうに考えています。  伴走型の相談支援は、全ての妊婦と子育て家庭の相談に定期的に応じて、それぞれの皆さんのニーズに合った必要な支援につなげていこうというものでありまして、そのためには市町村における相談支援体制の充実が重要だというふうに考えております。  県としては、市町村が必要な人材を確保し、質の高い相談体制を整備できますよう、相談支援を行う者に対する専門研修の実施、また他の自治体の好事例の展開などを行いますとともに、引き続き市町村の皆様方の御意見や課題を把握させていただきながら市町村の取組を積極的に支援していきたいと考えております。  以上です。       〔6番加藤康治君登壇〕 ◆6番(加藤康治 君) 今回、所有者不明土地の問題や成年後見制度について取り上げさせていただきました。  高齢化が今後ますます進んでいくことを踏まえると、どちらも重要になってくる課題だと考えます。市町村や関係機関とも連携しながら引き続き御対応をお願いしたいと思います。
     また、LPガス料金の関係ですが、県内でLPガスを利用している世帯が7割に及ぶことを考えますと、何らかの対応が必要と考えます。LPガスの価格上昇の抑制につながるような取組を県としても行っていただきたいと思います。  そして、出産、子育てへの支援ですが、今回の伴走型相談支援は、育児の不安を独りで抱え込むことによる子育ての孤立を防ぐのが目的です。育児の孤立が子供への虐待につながる要因の一つとも言われており、対応が求められます。  先ほど知事からも伴走型相談支援の意義について御答弁がありましたが、県民の皆様が安心して子育てに取り組めるよう市町村とも連携しながら取組を強化していただくことをお願いいたしまして、一切の質問といたします。ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君) 次は清水正康議員でありますが、同議員の質問事項中、選挙管理委員会の所管に属する事項が通告されておりますので、これに対する答弁のため北島靖生選挙管理委員会委員長の出席を求めましたので、報告いたします。  清水正康議員。       〔5番清水正康君登壇〕 ◆5番(清水正康 君) それでは、まず新型コロナウイルス感染症について質問をいたします。  新型コロナウイルス感染症の死亡者は、亡くなった方が陽性の場合、直接の死因が新型コロナでなくても死亡者数として数えられております。亡くなられた方のうち基礎疾患をお持ちの方が多くを占めるとの報告ですが、新型コロナで基礎疾患を悪くして亡くなったのか、または基礎疾患のある方が新型コロナを患い亡くなったのか、直接の死因など正確な情報があるべきと考えます。また、基礎疾患と大きくまとめるのではなく、どんな疾患や状態が危険であるのかを示すべきではないでしょうか。  第7波では、季節性インフルエンザと同レベルの致死率だったことから、現在、感染症法で2類から5類への引下げも検討するとの話もあります。医療現場の逼迫を回避するため、強い行動制限をかけず社会経済活動を一層推進するためにとのことであります。  諸外国を見ましても、近い将来そういった状況に移行することになりますが、その認識のずれからトラブルが起きないためにも、データから特徴を明確にし、正しく恐れ、正しく注意する必要があると考えます。  そこで、質問します。  新型コロナウイルス感染症の死亡者であるとする500名を超えた方の死因についてどう分析しているのか。お答えください。  また、第8波の中、知事は、医療機関に負担をかけないようにと発言をしております。特に、重症化リスクの低い方には自己検査をお願いしておりますが、例えば、子供たちは医療費が無料となっている市町村が多くあり、一つ1,000円以上する薬事承認を受けている検査キットを購入するよりも、無料になる医療機関の受診を選択する御家庭が多いと認識しております。  一昨日、清沢議員への答弁にありました住民税非課税世帯の方への無料配付や薬局などでの無料検査についても、すぐに検査キットが届かなかったり、症状がある方は検査ができないなどの制限があり、困っている方の要望に応え切れておりません。医療機関の負担軽減は重要事項であり、新規陽性者の一定数を占める重症化リスクの低い子供や若者などでは自己検査は特に広まるべきと考えますが、浸透していないのが現状ではないでしょうか。  そこで質問となりますが、県では自己検査をお願いしますと言っておりますが、自己検査は浸透していると捉えているのでしょうか。また、広く一般の行動に反映させるためにどのような取組を行っているのでしょうか。以上を福田健康福祉部長に伺います。  続いて、電子投票、インターネット投票について質問をいたします。  選挙業務につきましては、各市町村を中心に効率化などが図られておりますが、人件費など大きな予算が伴います。また、休日や夜間の業務となることから、職員の働き方改革といった面でもさらなる改革が必要と考えます。  電子投票については、2002年に電磁記録投票法が施行され、条例によって地方選挙で電子投票が可能になり、幾つかの市町村で行われてきました。有権者が投票所へ行き、タッチパネル方式など電子機器で投票するというシステムであったと聞いております。  開票作業の人員削減や開票時間短縮、書き間違いによる無効票の削減、障がいのある方も投票がしやすいなどのメリットがある反面、機器のトラブルで広まらず、今現在は行っている市町村はないとのことであります。しかし、20年前に比べてタブレットなどの機器は進化しておりますし、検討の余地があるのではないでしょうか。また、インターネット投票につきましても、本人確認やセキュリティーの課題はあるにしても、未来へ向けて検討すべきと考えます。  そこで、電子投票、インターネット投票などの導入について、現状と今後の見通しを北島選挙管理委員会委員長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 新型コロナウイルス感染症の死亡者の死因についてまずお答え申し上げます。  12月6日までに公表されました死亡者504名のうち、基礎疾患のあった方は467名で、死亡者全体の約93%となっております。この死亡者数は、新型コロナの陽性者で療養中に亡くなられた方の数を全て含めた数字でございます。  オミクロン株の流行下では、デルタ株までのようなウイルス性肺炎を発症して、それが重篤化し死亡に至るケースは非常に少なくなっております。悪性腫瘍や心血管疾患などもともとの基礎疾患が増悪した場合や、感染により全身症状が悪化して心不全や誤嚥性肺炎を発症してお亡くなりになる場合が非常に多くなっております。特に、高齢者は複合的な理由で亡くなることが多く、それぞれの死亡例について、死因を一つの疾患に限定したり、どのような基礎疾患がどの程度影響していたのかを特定することは医学的にも難しい状況と伺っております。  なお、国でも死亡者のデータを収集し、詳細な分析を行っていると聞いておりますことから、新たな知見やデータが明らかになれば県としてもそうした点についての情報発信をしてまいりたいと考えております。  次に、自己検査の浸透についてでございます。  現在、外来逼迫を避けるため、県民の皆様に検査キットや解熱鎮痛剤等の備蓄と、体調不良時の自己検査、陽性の場合の軽症者登録センターへの登録を呼びかけております。  軽症者登録センターにおける登録者数が累計1万人を超えるなど、徐々に自己検査が浸透してきていると受け止めておりますが、医療機関の負担を減らすためにはさらにこれを増やしていく必要があると考えております。そのための取組として、診療・検査医療機関に検査キットを配付し、外来逼迫時に有症状者に対して配付することを依頼するとともに、低所得の方に対しては、住民税非課税世帯の方など必要と認められる方に無償で配付しております。  また、これまでも、医療従事者との共同会見や、昨日の年末年始を迎えるに当たってのお願いにおいても検査キットの備蓄などの呼びかけを強めたところでございまして、今後さらにこれが浸透するように取り組んでまいります。  以上でございます。       〔選挙管理委員会委員長北島靖生君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(北島靖生 君) 電子投票並びにインターネット投票についての御質問をいただきました。  まず、電子投票につきましては、清水議員から御指摘のとおり、平成14年2月に施行されましたいわゆる電子投票法において、公職選挙法の特例として、地方公共団体の議会の議員並びに長の選挙に限り、地方公共団体が条例で定めるところにより、投票所において電子投票機を用いて投票を行うことができるようになっておるところであります。  電子投票の導入の場合は、議員御指摘のとおり、開票時間が短縮され、また開票結果が迅速に判明するほか、疑問票や無効票、案分票が発生せず、有権者の意思が正確に反映されるなどのメリットがあると認識いたしておるところであります。  一方で、国政選挙は対象外であることや、導入費用が高額であること、過去に機器によるトラブルから選挙無効となった事案が発生したことなどから、法律施行以来、20年間に全国で10団体25回の選挙が実施されたところであります。県内では現在のところ導入されている市町村はありません。  現在、電子投票機を供給していた事業者が、採算性等の面から機器の更新ができずに供給が困難となり、全国で電子投票ができない状況となっていることなどから、総務省では、この電子投票にタブレットの端末等を活用できるよう技術的条件等の見直しを行い、複数の事業者がそのためにシステムの開発中であると聞いておるところであります。  また、自宅のパソコン等で投票できるインターネット投票については、投票管理者や投票立会人が不在となる投票となるために選挙の公正確保の観点から様々な問題があることから、現時点では制度化されておりませんが、国では、まず、外国に居住する日本国民が投票する在外投票からインターネット投票を導入するため実証実験等が進められているところであります。  県選挙管理委員会といたしましては、こうした国の動向を注視するとともに、まずは信頼性の高い電子投票システムが開発され、電子投票の普及に向けた環境整備がされていくことを期待いたしておるところであります。市町村選挙管理委員会等の意向を踏まえて必要な助言を行ってまいりたいと考えておるところであります。  以上、答弁とさせていただきます。       〔5番清水正康君登壇〕 ◆5番(清水正康 君) コロナ関係の質問に対して福田健康福祉部長より答弁いただきました。少し早口で全ては聞き取れなかったのですけれども、国の発表等に併せて県でも考えていきたいというような話だったかと思います。  また、オミクロン株以降は、幾つかの複合的な理由によって亡くなる方が多いというようなお話であったかと思いますが、埼玉県などでは、既に昨年あたりから、コロナの関連死という部分で、死因とそうではない部分とに分けて発表しております。ぜひそういったことも参考にしていただければと思います。  また、検査キットにつきましては、なるべく浸透するようにということでお話があったかと思います。私には子供がいるのですけれども、高校で部活動をする際に、県で無料配付していただいた検査キットがありました。いざというときに使うということで、やはり自宅にあるというのはとてもありがたかったと実感として感じております。医療機関が逼迫している現在、特に有効かと思いますので、自己検査が広がるように検査キットの配付も検討をしていただければと思います。  電子投票、インターネット投票につきまして北島委員長より御答弁いただきました。  電子投票につきましては、現在、総務省でタブレットなどの端末の研究をされているということで、その動向を見て県でも考えたい、そのようなお話であったかと思います。大きな時間短縮ということもありますし、働き方改革ということもあります。また、無効票等がなくなるという部分でも大きな成果があると思いますので、御検討いただければと思います。  続きまして、保育と労働人材について質問をしたいと思います。  保育所などの待機児童については、それぞれの市町村で秋口から来春の入所希望などを調査し、4月に向けて準備を行いますので、春の段階では待機児童がほとんどないのが現状と認識しております。  ちなみに、この春の時点では、長野市と松本市において5人、4人といった待機児童があったとのことですけれども、様々な理由から年度の途中で預けたいという家庭はたくさんあり、未満児、特に1歳未満の子を預けたいといったニーズはどこの市町村でも多く、待っていただくこともあると聞いております。  また、希望の園ではなく別の園に通うといった場面もあり、預ける先が見つかればすぐに復職したいという方もあるそうです。つまり、潜在的なニーズや潜在的な待機児童はあり、働きたいと考える子育て中の方は一定数いると捉えることができます。  一方、多くの業種で、労働人材の不足は深刻です。最近、諸外国との賃金格差などで、外国人労働者にここを辞めて他国の企業へ行きたいとはっきり言われた経営者もあります。また、近頃何度もテレビなどで取り上げられておりますが、給料が日本の倍になったと日本人の若者が海外で働く現状も報道されております。  人口減少が進む中、人材不足はさらに深刻になることを視野に入れなければいけません。これまで、私は、地域の企業が生き残れるように、ICT化、DXなどを強く推進するようさらなる県の支援を提案、お願いしてまいりました。今回は、地域にいる貴重な人材の活用といった面で、子育て中の方が働きやすい環境整備について未来志向で考えていただきたいと思い、保育の切り口で質問を用意いたしました。個人的には、子供が幼いときには親元で育ってほしいという気持ちも大きいのですが、様々な可能性の一つとしてお答えいただければと思います。  まず、現状として、待機児童について、年度、年間でどのように推移していると捉えているのか。希望の園へ入れないケースや潜在的なニーズも含め、状況の認識について質問いたします。  また、待機児童対策として、施設の改修や保育士確保について県としてどのように支援をしているのか。現場では、特に年度途中の保育士の確保に困っていると聞きますが、県の認識について伺います。  事業所内などに保育施設を保有している企業もあります。送り迎えの利便もありますが、子供と近いところで働いているという安心感は大きいとのことです。仕事と子育ての両立の面で県として事業所内の保育施設についての評価を伺います。以上を野中こども若者局長に質問いたします。  また、事業所内などに保育施設を保有している企業については、企業の人材確保の面における可能性もあると考えますが、県としてどのように捉えているのか。林産業労働部長に質問いたします。  最後に知事に質問をさせていただきますが、これまで申し上げましたとおり、子育てをしながら働くことを希望する方にとって、人材不足に嘆く事業所にとって、保育事業の充実は大きな効果があると考え、質問をさせていただきました。  公益財団法人児童育成協会、元は内閣府ですが、こちらで昨年度まで新規募集を行っていた企業主導型保育事業は、企業が従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供するために設置する保育施設や、地域の企業が共同で設置、利用する保育施設に対し施設の整備費及び運営費の助成をする事業であり、県内でも幾つかの企業のニーズに応じた保育施設の設置につながりました。  県では、事業所内保育に対する支援事業などはありますが、地域の実情、今後を見据え、働くことを希望する御家庭、人材不足解消や早期復職を望む事業所への支援のため、さらに従業員が結婚、妊娠、出産、子育てというライフステージにかかわらず働き続けやすくなるためにこういった保育事業をさらに充実すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には保育に関しまして3問御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  まず、待機児童数の推移についてでございます。  女性の就業率や3歳未満児の保育所入所率の上昇により、平成29年度以降、県内一部の市町村において待機児童が発生しておりますが、各年4月時点での推移につきましては、保育料の無償化が始まった平成31年に3市で80人となったのをピークとしてその後は減少傾向にあり、令和4年度におきましては、議員御指摘のとおり、2市で9人となっております。  年間の推移では、年度途中から後半にかけて育児休業からの復職により乳児の保育ニーズが増加するため、待機児童も増える傾向にあると考えております。  また、希望する保育所等に入れない、求職活動を休止している、育児休業後の復職が確認できないという三つのケースに該当するときは、いわゆる潜在的待機児童とみなされております。その児童数は、令和4年4月現在、県内8市町村で131名となっており、内訳は、特定の保育所等を希望する者が111名、求職活動休止中の者が8名、育児休業継続中の者が12名という状況でございます。年間の推移は、待機児童数と同様、減少傾向にはございます。  希望の保育所等に入れない方への対応といたしましては、市町村において、保護者に対してほかに利用可能な保育所等の情報提供や一時預かりサービスの利用を提案するなど、個々のケースに応じた調整を行っているものと承知をしております。  次に、待機児童対策としての施設改修や保育士確保への県の支援について御質問をいただきました。  待機児童の解消に向けては保育士の確保が重要であることから、保育士を目指す学生の修学就職支援を目的とした返還免除型の保育士修学資金の貸付けや、保育士人材バンクによる潜在保育士と保育施設の就職マッチング、就職準備金や未満児保育料の貸付けなどにも取り組んでおります。そのほか、キャリアアップ研修の実施による保育士の処遇改善等に総合的に取り組み、保育士の安定的な確保、就業継続に向けた支援を行ってきております。  また、乳児の保育ニーズが増加傾向にあることを受け、3歳未満児の受皿確保策として、市町村が認可いたします地域型保育事業を支援する観点から、民間の地域型保育事業所の新規開設時の施設整備費に係る事業所負担を県独自の事業として軽減するなど、市町村とともに多様な保育の受皿整備に取り組んでおるところでございます。  さらに、低年齢児の受入れを促進するため、育児休業明けの保護者の利用が増える1歳児保育における国の配置基準以上の保育士の増員や、年度途中からの入所が多い乳児クラスにおける担当保育士の事前確保への支援なども行っておるところでございます。  最後に、事業所内保育施設に対する仕事と子育ての両立の面での評価について御質問をいただきました。  市町村が地域のニーズに応じて認可をいたします地域型保育事業の一つである事業所内保育事業に関しましては、企業が主体となって事業所内や隣接するスペースに保育施設を設置、運営し、従業員枠を設け、従業員の子供を優先的に受け入れているということから、子育て中の従業員の育児と仕事の両立に資するものであると考えております。  また、この事業所内保育事業は、地域の保育ニーズに応えるため、受入れ定員の一部を地域枠として地域の子供も受け入れていただくこととなっております。このため、3歳未満児を対象とする小規模保育事業の拠点として待機児童の解消を図るなど、地域の子育て機能の維持確保を図る役割も担っていらっしゃるというふうに考えております。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 私には、事業所内保育施設を保有する企業の人材確保面での可能性についてのお尋ねをいただきました。  育児と仕事の両立や、育休取得後の速やかな職場復帰にも資する事業所内保育施設は、働きやすい職場環境づくりはもとより、企業の人材の確保定着につながるものと考えております。このため、県では、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度のワークライフバランスコースにおいて事業所内保育施設や企業主導型保育所の設置を評価項目に加え、こうした取組の後押しをしているところです。  また、子育てサポート企業が増えていくよう、アドバンス認証制度や、くるみん・プラチナくるみん認証を有する企業を広くPRするなど、働きやすい職場環境づくりを促し、人材の呼び込みと定着に結びつくよう取り組んでまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には、事業所における保育事業をさらに充実すべきと考えるがどう考えるかという御質問であります。  近年、女性の皆様方の就業率が上昇することなどにより、3歳未満児の保育所利用が増加をしております。また、育児休業明け等年度途中の保育所利用のニーズが高まってきております。  しかしながら、少子化の傾向を踏まえ、新たな大規模施設の整備に慎重となる自治体もありますことから、こうした3歳未満児の保育の受皿となる地域型保育所事業につきましては、子育てと仕事の両立を目指す保護者支援、そして待機児童を解消するという観点から非常に重要なことだというふうに考えています。  民間の皆様方が事業者として実施、設置をする地域型保育事業につきましては、これまで市町村と連携して実施してきております県単独での補助事業によって事業者負担の軽減を図っております。そのことによって新規設置を促してきておりますが、待機児童の解消に一定程度役立ってきているものというふうに考えております。  また、事業所内保育施設につきましては、御指摘のとおり、人材の確保、職場環境の整備という観点からも重要だというふうに考えております。県としては、病院内保育所の運営支援を行いますとともに、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度においても保育施設の設置を評価項目に設定させていただき、設置の促進を図っているところでございます。  今後とも、引き続き地域の保育需要等をしっかりと把握しながら、事業所内保育事業なども含めて保育の受皿確保に市町村や事業者の皆様方と共に取り組み、子育てをしながら働くことを希望する方、そして人材確保のための職場環境の整備に努める事業所を支援していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔5番清水正康君登壇〕 ◆5番(清水正康 君) お答えいただきました。  野中こども若者局長より状況についてお話を伺いまして、潜在的な部分では数字も出していただきました。先ほども少しお話をさせていただきましたけれども、保育所が空いていないといううわさを聞き、働きたいけれども働くことを諦めている方もいるというふうに自分の周りで聞いております。定員に空きがあるぐらいの余裕がある人材確保、定員確保をお願いできればというふうに思います。  また、年度途中の保育士の確保といった面では、様々な施策を行っているというお話がありました。また、知事からもお話がありましたけれども、子供が預けられる、そして働ける、そういった環境整備を市町村と協力して進めていただければと思います。  企業の人材確保という面では、人手不足はこれからさらに深刻になるというふうに思います。これで全てが解決するわけではないと思いますが、様々な施策を行う中で地域の企業が持続可能になるような取組につながればと思っております。  先日、兵庫県の明石市にて市長さんに伺ったのですけれども、その場所で子育てをしたくなるような施策が市の魅力向上につながるといったお話でありました。長野県は様々な面で子育てもしやすいし、働く雰囲気、環境がある、そんな県であるというアピールができるよう、県でも市町村と併せてしっかりと進めていただければと思います。以上で質問を終わりにします。 ○副議長(髙島陽子 君) この際、15分間休憩いたします。         午後2時20分休憩          ──────────────────         午後2時36分開議 ○議長(丸山栄一 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  中川博司議員。       〔26番中川博司君登壇〕
    ◆26番(中川博司 君) 改革・創造みらいの中川博司です。  長野県の契約条例に基づく労働者の賃金、労働条件の改善状況についてお伺いいたします。  長野県の契約に関する条例は、平成26年(2014年)4月1日に施行されてから8年が経過しました。第3条第4項で、「県の契約の履行に係る業務に従事する労働者の賃金が適正な水準にあることその他の労働環境が整備されていること。」と定め、具体的な取組として、建設工事において労働賃金の支払いの実態を検証しつつ、適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式などを試行してきました。  2019年9月定例会で、この施行状況についての質問に、当時の建設部長からは、元請企業と下請企業の間では適正な水準の労働賃金を含む内容で契約がなされ、工事終了後は適切に支払いが行われていることが確認されたが、企業から建設労働者へ適正な水準の賃金が支払われたかについては、当該企業が当該工事のみを受注しているわけではないこと、労働者一人一人の経験や能力、現場ごとの役割が異なることなどから、確認が容易でないことが課題として、標準見積書の活用、建設キャリアアップシステムの普及や月給制への移行といった施策を加えた新たな取組を推進すると答弁があったところです。  それから3年が経過しました。11月29日、長野労働局発表の10月の雇用情勢を見ると、建設業の新規常用求人数は872人に対して求職者数は82人です。厚生労働省の2021年雇用動向調査によると、建設業の離職理由は、収入が少ないが16%で1位。同じく2021年の賃金構造基本統計調査では、全産業平均年収が452万2,000円だったのに対し建設業の平均年収は528万3,000円で約70万円高い結果となっていますが、企業規模、職種によって大きな格差があります。  従業員1,000人以上の大手企業の年収が667万8,000円に対して、10人から99人で436万4,000円、5人から9人で404万4,000円と250万円以上もの開きがあります。職種別では、一級建築士702万9,000円、測量技術者468万8,000円、配管工466万5,000円、大工414万9,000円、とび工393万円です。  長野県建設労連による公共工事従事者の賃金調査と設計労務単価を比較すると、2022年建築大工の設計労務単価2万5,200円に対して、常用で1万4,500円、一人親方で1万4,976円と1万円以上の差があります。また、資材の高騰に対しては、現場から、材料費が上がったまま下がらず、仕事単価も下がったまま。この先やっていけないという声が上がっています。  そこで、少なくとも長野県の契約の現場で働く県民を不幸にせず、建設労働者の人手不足の解消に向け、労働環境の改善について以下5点質問いたします。  現場で働く建設技能労働者の賃金を改善する必要があると私は思いますが、建設部長の認識を伺います。  県は、賃金改善に向け標準見積書を活用する指導をするとしてきましたが、現場では、賃金や社会保険料の積み上げ方式ではなく、結局総額を示して下請業者を選定しているという実態があります。県が取り組んできた標準見積書の活用により賃金が改善されているという認識をお持ちなのか伺います。  建設キャリアアップシステムの登録が長野県は他の都道府県と比較して少ないという指摘があります。長野県は登録を増やすためにどのような取組をされるおつもりですか。  長野県の公共工事を受注する場合、契約金額の大きい工事現場で働く人と小さい契約金額の現場で働く人とでは支払われる賃金に格差があることは推察できます。したがって、より実態を正確に把握する必要があると思いますが、長野県として事業規模別、職種別の賃金実態調査を行うべきではないかと思いますが、いかがですか。以上を建設部長にお伺いします。  これまでの県の取組では、建設技能労働者の処遇は一向に改善する兆しが見えませんが、今後建設技能労働者の賃金などの処遇改善にどのように取り組んでいくのか。知事にお伺いします。  次に、保育士の処遇改善及び確保策についてお伺いします。  国は、2022年2月から9月まで、保育士、幼稚園教諭、放課後児童支援員、社会的擁護従事者、福祉・介護職員等の処遇改善事業として月額9,000円の賃金引上げの補助金を出すこととしました。  私は、女性が働き続けられる条件という観点から、保育士の確保と処遇改善について質問をいたします。  国はもとより、長野県においても女性の活躍を推進しています。女性が働き続けるためには、結婚、出産、子育てなど多くのハードルがあります。  一方、生涯働き続けることで老後の年金を得ることができます。厚生年金の受給額平均は、男性の平均が16万6,863円に対して女性は10万2,708円です。女性受給者の45%が5万円から10万円です。女性の場合は、会社員として厚生年金に加入していた期間が男性より少ないことの結果です。  女性の貧困の原因は、非正規雇用割合が男性に比較して高いことや、年齢に応じて賃金が上がりにくいことだと言われています。学校を卒業して正規の雇用についても、結婚、出産を機に非正規雇用となるケースが依然として多いわけです。  女性が働き続けることができるように保育所が利用されるわけですが、産休明け、育休明けで保育所に子供を入れようと思っても、希望する保育所の定員がいっぱいで入れないことや、兄弟が別々の保育所への通所を余儀なくされるなどの現状があります。結果として、育休を早めに切り上げ、4月から保育所に出す御家庭もあります。  信州大学のおひさま保育園では、産休明け、育休明けの月を予定として受け付け、年間を通じて保育の受入れをしています。これだとお母さんは安心して産休、育休が取れます。この体制を維持するために、保育所では受け入れる人数に応じて保育士を確保する必要があります。  こうした例を紹介するまでもなく、保育士の不足は顕著です。国は、消費税引上げにより確保した0.7兆円で、3歳児の職員配置基準をそれまでの20対1から15対1にした保育所に加算措置をしました。しかし、保育士の人員不足を理由として、半数以上の保育所が20対1のままとなっています。加えて、0.3兆円の追加の恒久財源を確保して、1歳児、6対1から5対1へ、4歳児、5歳児、30対1から25対1へ改善するとしてきましたが、依然として財源が確保されず、実施されていません。加算措置ではなく、そもそもの最低配置基準の見直しをすべきです。  こうした保育士不足の現状を踏まえて5点質問をいたします。  保育士の処遇の改善は依然として進んでいないと思いますが、県としての認識を改めてお伺いします。  保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の県内の私立、公立別の申請状況はどうであったのか。また、申請がされなかった理由をどのように捉えていますか。  処遇改善について、10月以降、私立では公定価格の改定、公立では地方交付税措置がされているところですが、保育士の処遇改善に向けて県としての取組はどうしていくのか。  県は、ゼロ歳児への年度途中の入所を支援しているところですが、さらに拡大してはいかがでしょうか。  女性が働き続けられる条件と保育の質を確保するためにも、保育士の養成数を増やしていく必要があると思いますが、県としての考えはありますか。以上、こども若者局長にお伺いします。  次に、会計年度任用職員の処遇について5点お伺いします。  会計年度任用職員にはパートタイム勤務とフルタイム勤務がありますが、一般の非正規労働者のフルタイム勤務とパートタイム勤務労働者と比較して賃金は安いのではないかと思われますが、いかがですか。  市町村では、保育士の会計年度任用職員が正規の保育士と同等の仕事をしているケースがあります。そもそも正規職員の不足を会計年度任用職員で補充するということはあるのでしょうか。  会計年度任用職員には期末手当は支給されていますが、勤勉手当が支給されていません。人勧のプラス勧告は勤勉手当に配分され、マイナス勧告は期末手当に配分されているので、このままでは会計年度任用職員の一時金は減る一方となってしまいます。国においては非常勤職員への勤勉手当の支給が検討されているようですが、県としても勤勉手当を支給すべきではないでしょうか。  任期について、5年を限度に更新可能とし、5年以降は、公募による選考の結果、当該者が適任であれば再度の任用を可能としていますが、消費生活相談員、登記事務員、労働相談員、手話通訳事務員などは専門的な知識が必要であり、積み重ねてきた経験も貴重であり、後補充の難しさもあると考えられますが、任期についてどのように考えていますか。  現行六つの区分に分かれている報酬水準区分に該当しない会計年度任用職員の報酬や業務内容については各部局に任されていますが、人事課としても適正な運用がされているか把握すべきではないですか。以上を総務部長にお伺いします。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には4点御質問をいただきました。  まず、技能労働者の賃金についてのお尋ねでございます。  技能労働者の賃金の基礎となる設計労務単価は10年連続で上昇しています。賃金構造基本統計調査に基づく国土交通省の推計では、この設計労務単価に基づき算出した技能労働者の推定年収は令和元年から令和2年にかけて5%程度の上昇が見込まれますが、実質の技能労働者の平均年収の伸びは2%程度にとどまっており、乖離が見受けられるなどの課題があると認識しています。  次に、標準見積書の活用による賃金改善についてのお尋ねでございます。  標準見積書の活用については、支払い賃金の基礎となる労務費を明確化していくことで、元請業者と下請業者間の契約において技能労働者の適切な賃金が確保されるよう促すことを目的としています。  令和3年度下請取引等実態調査によると、標準見積書を活用した工事では、8割以上で賃金を含めた全額が元請業者から下請業者に支払われており、一定の効果はあったものの、下請業者から技能労働者に対して適切な賃金が支払われているかについては把握できていない状況です。  次に、建設キャリアアップシステムの登録に関するお尋ねでございます。  建設キャリアアップシステムの普及促進のため、総合評価落札方式における加点を令和2年度に導入し、令和3年10月からは対象工事を8,000万円以上から3,000万円以上に引き下げ、取組の拡大を図っております。また、入札参加資格においては、新客観点数での加点を令和4年度から新たに行っております。この結果、登録業者は令和4年7月末で2,269社、全建設業者数の30.1%となり、令和2年度末に比べて17.2ポイント増加しております。  しかしながら、全国平均は38.7%であり、本県は低い状況でございます。登録が進んでいない原因としては、導入費用の負担が考えられます。このため、原則全ての工事でカードリーダーの設置費用等を設計に盛り込む取組を来年度から実施してまいります。引き続き技能労働者の処遇改善のため、キャリアアップシステムの普及促進を図ってまいります。  最後に、賃金実態調査についてのお尋ねでございます。  公共工事に用いる設計労務単価は、元請や下請の技能労働者の賃金実態を基に決定しており、ここ10年連続して上昇しております。一方、国の下請取引等実態調査では、三次以下の下請業者の8割が設計労務単価を参考とせずに技能労働者の賃金を設定しているという結果も出ております。  こうした状況を踏まえますと、議員御指摘の賃金実態をより正確に把握する必要があるものと考えられることから、今後調査の具体的な内容や調査方法を含め検討してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には建設技能労働者の方の賃金などの処遇改善にどう取り組むかという御質問であります。  建設産業全体の平均年収については、ダンピング対策や設計単価の引上げ等の効果が発揮され、上昇する傾向にあります。しかしながら、御質問にありましたように、技能労働者の方々が受け取る賃金の伸びは低く、人材確保の面からも課題だというふうに認識しています。  そこで、まずは原因がどこにあるのかを明らかにするため、建設業者の団体の皆様方とも連携して実態をよく把握していきたいというふうに思っています。元請、下請、さらに何次かの下請があって、その先の労働者にどういう賃金が払われているかということでありますので、構造的には複雑でありますが、どのような対策を講じる必要があるのか、また、どのような対策を講じることができるのか、こうしたことについてしっかり検討していきたいと考えております。  加えて、建設現場で働く方の処遇改善としては、適正な工期の確保や週休2日の推進を図りますとともに、来年度、新たに働きやすい現場環境づくりに着手していきたいと考えております。こうした取組を通じて、建設産業、建設現場での働き方改革を一層進めていきたいと考えております。建設現場で働く技能労働者の皆様方にとっても魅力ある建設産業を目指して県としても取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には保育士等の処遇改善及び確保策について5問御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  まず、保育士の処遇状況についてでございます。  保育士の賃金水準につきましては、処遇改善等加算の創設などにより、近年徐々に上昇してきており、賃金構造基本統計調査によりますと、保育士の年収は、令和元年に364万円であったものが令和3年には383万円となっております。  しかしながら、平均賃金を全産業と比べた場合、これは平均年齢や勤続年数が異なるため単純には比較はできないと考えてはおりますが、月収換算で約9万円低い状況でございます。本年2月から実施されております3%程度、月額9,000円の処遇改善措置を加味しましても、依然として低い状況にあります。地域の保育ニーズに応える観点、職員がやりがいを持って働き続けられるようにするという観点からはさらなる処遇改善が必要であると認識しております。  次に、処遇改善臨時特例事業の申請状況及び申請されなかった理由についてでございます。  保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業につきましては、県内では672施設のうち563施設において申請があり、内訳といたしましては、公立の約77%の323施設、また、私立の約96%の240施設において当該事業による処遇改善が実施されてきております。  また、申請されなかった理由について市町村に確認いたしましたところ、私立施設からは、申請に係る事務手続が煩雑であるということ、また、公立施設からは、保育士と同じ給料表を用いている他の職種との公平性が保たれなくなるためといったことが主な理由として挙げられてきております。このため、公立施設におきましては、非正規職員への処遇改善に対して活用され、正規職員に対して実施したのは6市町村にとどまっている状況でございます。  次に、保育士の処遇改善に向けた県の今後の取組についてでございます。  保育人材確保のための方策として処遇改善は重要でございます。今後、保育の実施主体である市町村に対して、県内で正規職員の処遇改善を行った市町村の対応事例等の情報提供を通じて公定価格上の新たな処遇改善等加算のさらなる活用を働きかけるとともに、国に対してもさらなる処遇改善や申請手続の簡素化を働きかけてまいりたいと考えております。  加えまして、必要な保育士がしっかり確保され、それに応じた運営費補助が行われるよう、公定価格の算定基礎となる配置基準の見直しについても国に対して要望してまいります。  また、従来から平均経験年数や技能等に応じて給付されている処遇改善等加算のうち、一部の加算につきましては、県が実施または指定するキャリアアップ研修の修了が要件となっておることから、引き続きオンライン等の活用など受講しやすい研修機会の確保と充実を図り、多くの保育士が処遇改善加算の対象となるよう支援してまいります。  次に、低年齢児保育に対する支援策の拡大についてでございます。  県におきましては、ゼロ歳児クラスにおきまして、保護者の育児休業明けに伴う年度途中入所に備えて年度当初から事前に保育士を国基準以上に配置する場合や、手厚い保育が必要な1歳児クラスにおいて国基準以上の保育士を配置する場合に県単独補助事業により支援を行っておるところで、多くの市町村において御活用いただいているところでございます。  今後も、本事業をしっかり継続させていくことにより、安心、安全な低年齢児保育に向けた体制確保に取り組む市町村に対してしっかりと支援を行ってまいりたいと考えております。  最後に、保育士の養成数等を増やすための取組についてでございます。  女性の就業率向上に対応するとともに、質の高い多様な保育を提供する観点から、保育士の確保は非常に重要であると考えております。県といたしましては、保育士資格の取得を目指す者への支援として返還免除型の保育士修学資金の貸付けを行っており、県内の高等学校等にも制度の案内をお送りし、保育士の成り手の掘り起こしを図っております。  また、加えまして、保育士人材バンクを設置いたしまして潜在保育士の就職支援に取り組んでおるところで、保育施設との就職マッチングや復職セミナーの開催、就職準備金や未満児の保育料貸付けなどを行い、保育の新たな担い手確保にも取り組んでいるところでございます。  保育士の養成確保に向けたさらなる方策につきましては、本年10月の県と市町村との協議の場で合意をして設置することとなりました専門職員の共同確保に向けたプロジェクトチームにおいて、今後市町村とともに改めてしっかりと検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君) 会計年度任用職員に関連して5点御質問をいただきました。  まず、会計年度任用職員と民間の非正規労働者との賃金比較についてでございますが、全く同じ条件で比較できるデータではございませんが、本県の毎月勤労統計調査によりますと、パートタイムについては、令和4年9月分の民間の全産業の労働者の平均賃金が月額約11万円であるのに対しまして、本県は月額約12万3,000円でございます。先ほど申し上げたとおり、この金額は、民間、本県ともに様々な業種、勤務時間の方が含まれておりますので、一概にどちらが高い、低いということは言い難い状況かと思います。また、フルタイムにつきましては、民間の統計数値がないため比較ができないものとなっております。  会計年度任用職員の処遇改善につきましては、県としてこれまで努力をしてきたところでございますが、本年の人事委員会勧告を踏まえまして本定例会に提出いたしました一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案を御議決いただいた場合には、常勤職員の引上げに準じる形で会計年度任用職員の給料、報酬額につきましても令和5年4月より引き上げることとしております。引上げ額は、業務内容、勤務時間等によって異なりますが、フルタイム職員で月額3,200円から4,200円程度、パートタイム職員では、1日7時間45分、月16日勤務の場合、月額換算で2,500円から3,200円程度引き上げる見込みでございます。  次に、正規職員の不足を会計年度任用職員で補充することはあるのかという御質問でございます。  常時勤務を要する職、正規職員に欠員が生じた場合でございますが、地方公務員法において常時勤務を要する職に欠員が生じた場合に任用が認められ、常勤職員と同等の職務内容や責任を担える臨時的任用職員を別に採用して対応しておりまして、会計年度任用職員で補充することは行っておりません。  次に、会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給についてでございますが、地方公共団体の会計年度任用職員への勤勉手当の支給につきましては、制度創設時に、国において期末手当の支給を優先する等の理由から、勤勉手当につきましては支給しないことを基本としつつ、今後の検討課題とされたところでございます。  しかしながら、制度創設以降、地方公共団体における期末手当の支給が定着してきていること、国の非常勤職員に対する勤勉手当の支給状況や、現行の地方自治法ではパートタイム会計年度任用職員に勤勉手当を支給することができない規定となっていることなどを踏まえまして、現在、国の有識者会議におきまして、勤勉手当の支給について法改正等も視野に入れた検討を行っていると承知しております。  会計年度任用職員の処遇改善は大変重要だというふうに考えておりますので、県としましては、国における法改正等の環境整備や、これに関わる地方財政措置、また他県等の状況も踏まえ、今後の対応を検討してまいりたいというふうに考えております。  次に、会計年度任用職員の任期についてでございます。  会計年度任用職員は、制度上、一会計年度を超えない範囲で任用する職でございます。職の設置に当たりましては、会計年度ごとにその職の必要性を十分検討した上で設置しております。翌年度以降も同一の職を設置する場合には、採用における平等取扱いの原則と同一の職員が継続して業務を担うことによる円滑な業務執行の観点、これらのバランスを考慮する中で、長野県では公募によらず5年間は任用を可能とするなど柔軟な運用を行っているところでございます。5年間の任用終了後、さらに引き続いて任用を希望する場合には、年度ごとに毎年度公募による選考に合格することが必要でございます。  なお、消費生活相談員、登記事務員、手話通訳事務員などの専門的な資格、経験、技能を要する職につきましては、5年間の任用期間が終了した後に、一度公募による選考に合格した後は、再度5年間は公募によらない任用を可能としているところでございます。  最後に、会計年度任用職員の報酬や業務内容の把握についてでございますが、会計年度任用職員の職の設置に当たりましては、部局における設置要綱制定時に、給与、報酬水準や業務内容につきまして人事課に協議をすることとしております。その中で、六つの報酬水準の区分に該当しない会計年度任用職員についても、県や民間の類似の職を考慮した上で、その職の専門性、特殊性に見合った適切な給与水準となっているか全庁的な視点で確認をしているところでございます。今後とも、各部局の任用状況を把握した上で、制度全般の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君) 今日の地元紙の一面に「外国人労働者「日本離れ」」とあり、労働力不足はこの先さらに進むことが危惧されています。  長野県の契約における建設労働者の処遇改善について、標準見積書の活用による賃金の改善状況、建設キャリアアップシステムの登録の拡大等を検証し、改めて適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の本格実施について検討することを要望します。  次に、保育士の養成については、そもそもの養成数を増やすということが必要だというふうに思いますので、専門学校などへの要請ということもぜひ検討いただきたいというふうに思います。  次に、新型コロナ第8波への対応についてお伺いいたします。  知事は、11月10日の記者会見で、観光客から感染が広がる状況はほとんど起きていない。多くの観光客を迎えることが地域を元気にすることにつながると話をしていましたが、何を根拠に観光客から感染が広がる状況はほとんど起きていないと明言したのでしょうか。  長野県は、人口10万人当たりの感染者数が全国的に高い状況が続いていますが、今般の長野県内の感染拡大の原因についてどのように考えていますか。  知事は、信州医療センター、松本市立病院と医療の逼迫について県民に広報をいたしました。現在、確保病床の入院者数とそれ以外の入院者数を加えた総入院者数が12月4日に758人となり、その影響は一般医療へも及んでいます。高齢者など重症化リスクのある方への対応と若年者などリスクの低い方への対応を分けていますが、保育園や小学校に通う子供から高齢者を含む家族全員に感染が広がっている現状があります。  知事は、行動制限を県民に求めることは想定していないと言っていますが、私は、感染者数を減らしていくことをしなければ医療の逼迫状況を改善することは難しいのではないかと考えます。今回の第8波をどのように乗り越えていこうとお考えなのでしょうか。  また、年末年始の感染対策として、休日の診療医への支援が補正予算で提案されていますが、これだけで本当に大丈夫なのかと思います。既に提案もされていますが、希望者へ新型コロナの検査キットの無料配付を行うことや、年末年始に主要ターミナルで無料検査所を開設しているところですが、車での来県者、帰省者が多い現状を考えて、高速道路のサービスエリアなどでも無料検査所を設置するなどさらなる対策が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。以上、知事にお伺いします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 新型コロナへの対応に関連して3点御質問をいただきました。
     まず、観光客から感染が広がる状況はほとんど起きていないと言っている根拠は何かということでありますが、これは、陽性になられた方にアンケート調査をさせていただいております。考えられる感染経路として非常に多くなっているのは、同居の御家族間、それから学校、職場、こうしたものが上位を占めているというのが今の状況であります。  また、今は全国旅行支援で観光に行かれている方が多いわけでありますけれども、全国旅行支援の条件は、ワクチン3回接種済みまたは検査結果が陰性という方を対象にしております。観光関係者の皆様方も、この間非常に感染対策に御努力をいただいているところであり、観光客を要因として集団的な感染が起きているという事例はほとんど見られないという状況でありますので、会見の場で申し上げたところであります。  また、人口10万人当たりの新規陽性者数が長野県は多くなっている状況の原因はどう考えているのかということであります。専門家懇談会でもこの点については御議論をいただいているわけですが、一つは、第7波における陽性者が本県は全国の中でも少なかったということが言われております。感染による免疫を獲得された方が少ないというのが要因の一つとして考えられます。  また、気温の低下によりまして換気が不十分になっているのではないかということであります。今、全国の状況を見ますと、北海道、東北、我々長野県と、比較的寒冷地の陽性者が先行して増加しました。今は北海道も本県も横ばいあるいはやや減少という状況になっていますけれども、先行した地域はこうした寒冷地でありますので、やはりこうしたことも要因になっているのではないかというふうに思っております。こうした状況認識の下で、県民の皆様方にも換気の徹底等を呼びかけさせていただいているところでございます。  続きまして、第8波をどう乗り越えるかという御質問でございます。  まず、行動制限については、絶対に何もやらないということを申し上げているわけではなくて、強い行動制限はできるだけ行わないようにしていきたい、現時点では行う考えはないと申し上げてきております。  この新型コロナとの闘いは、常に変異株の状況等も見極めなければいけませんので、常に状況判断をしながら適切な対応をしていきたいというふうに考えております。  そうした中で、今の状況でありますけれども、入院されている方のほとんどは御高齢の方、基礎疾患をお持ちの方であります。また、お亡くなりになられる方もほとんどこうした方々であります。まずはこうした重症化リスクが高い方をしっかり守っていくことが重要だというふうに思っておりまして、そうした観点で県民の皆様方にも協力の呼びかけをさせていただいております。  他方で、オミクロン株の特性やワクチン接種の推進、さらには抗ウイルス薬の投与等によりまして、新型コロナによる重症者や死亡者の割合はこれまでに比べると大分下がってきているという状況があります。  母数は少ないわけでありますが、例えば、第1波の重症者割合は、陽性者のうち6.58%、第2波のときは2.25%、第3波のときは1.29%という状況でありましたが、いわゆる第6波、第7波、オミクロン株になってからは、それぞれ0.02%と同じ数字でありまして、大分低い状況であります。  死亡者の割合についても、第1波は亡くなられた方はゼロでありますが、第2波は2.25%、第3波は1.73%、第4波は1.98%ということで、オミクロン株になってからは、第6波0.16%、第7波0.12%が私ども長野県における現状のデータであります。  重症化される方、死亡される方の割合は、これまでに比べて大分低下してきておりますので、あまり強い行動制限をかけずに何とか乗り越えていきたいというふうに思っておりますが、まずは基本的な感染対策をしっかり行っていくということが重要であります。  昨日も年末年始に向けての呼びかけを行わせていただきましたが、今申し上げたように、ハイリスクの方とそうでない方の行動は大分違う形になっています。ハイリスクの方は、体調が悪いときはすぐに医療機関に相談、受診をしていただきたいということを呼びかけていますが、一方で、そうではない方、例えば若くて健康な方については、症状があってもできるだけセルフメディケーションでお願いしますという要請をさせていただいています。いずれも入院や外来に過度な負担がかからないようにということを念頭に置きながら呼びかけさせていただいているところであります。  こうした呼びかけの趣旨、内容を徹底することによって、多くの皆様方と問題意識を共有してこの第8波を乗り越えていきたいというふうに思っております。  現在、新規陽性者数の伸びが鈍化して、1週間当たりの新規陽性者数は少し減少している状況ではありますが、医療現場の厳しい状況は継続しております。介護・医療関係の皆様方には、大変厳しい状況の中でこのコロナと闘っていただいております。そうしたことを県民の皆様方ともしっかり共有しながら、我々としては、新たな変異株の出現に備えつつ、また、年末年始を契機として、感染の再拡大、季節性インフルエンザとの同時流行、こうしたことへの警戒を怠ることなく第8波を乗り越えていきたいと考えております。  最後に、年末年始の感染対策についてさらなる対策が必要ではないかという御質問でございます。  まずは、今回、年末年始の外来診療体制を確保するために必要な予算を計上させていただきました。加えて、外来の逼迫を避けるために、先ほど申し上げたような自己検査、セルフメディケーション、そして軽症者登録センターへの登録の呼びかけを行ってまいります。  また、検査キットにつきましては、基本的にはあらかじめ御購入をいただくということをお願いさせていただいておりますけれども、一方で、高齢者施設の皆様方には配付させていただいておりますし、また、住民税非課税世帯の方や就学援助の認定を受けている御家庭の小中学生の方々などについては、有症状の方はオンラインで御要請いただければ無償で配付するという対応をしております。  また、医療機関には約20万個の検査キットを配付させていただいております。これらは、外来が逼迫したときには、受診を受け付けることなくこの検査キットを配付していただくということで対応をお願いしているところであります。  年末年始の帰省等に備えましては、ゴールデンウイークやお盆と同様に、移動の中心となると考えられます長野駅と松本駅周辺に臨時の検査拠点を設置してまいります。また、薬局等における無料検査は継続しているところでございます。  こうしたことを通じて対策を行っているところでありますけれども、これからも引き続き新型コロナの感染拡大の状況や変異株の発生状況もしっかり見極めながら必要な対策を柔軟に実施していきたいと考えております。  以上です。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君) 長野県は新型コロナの抗体保有率が全国で一番低いという報道がありました。長野県民はそれだけ感染しないように注意をしてきたということだと思います。新型コロナの収束は、集団免疫の獲得が前提となりますが、経済を止めずに、医療への負担をかけないように感染をコントロールすることは、極めて難しいかじ取りです。年末は人の流れが大きくなるときです。病床と医療従事者の一層の確保を含め、対策の具体的な強化をお願いし、質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、池田清議員。       〔11番池田清君登壇〕 ◆11番(池田清 君) 改革・創造みらい、池田清です。通告に基づいて質問いたします。  初めに、県営住宅について伺います。  住宅に困窮する低所得者にとって、民間住宅に比べ家賃が安い公営住宅のニーズは、現下の物価高騰によりさらに高まっています。住居の確保は、生存権に直結する重要な問題です。現在の県営住宅の総戸数と入居率、単身高齢者の入居状況について田中建設部長に伺います。  また、単身高齢者の入居に際しての困難事例についてどのようなものがあるのか。田中建設部長に伺います。  次に、入居時に求めている連帯保証人と敷金について2点伺います。  1点目です。昨年の11月議会で、私は、身寄り問題の一環として、県営住宅の入居に際して連帯保証人を求めない制度への転換を求め、県の見解を伺いました。当時の建設部長の答弁は、家賃滞納など様々な課題があることから直ちに連帯保証人を求めない制度への転換は難しいと考えるが、一方で、最近になって連帯保証人を求めない制度に転換した都道府県もあることから、その状況も見極めつつ、健康福祉部をはじめ県社会福祉協議会等関係機関と意見交換を行い、連帯保証人の在り方について検討する。今後とも、入居希望者に寄り添いながら、不利益が生じないよう適切な運用に努めるというものでした。直ちに制度転換することは難しいとしながらも、福祉的側面に配慮し、そう遠くないうちに制度転換を行いたいとの含みを持つ答弁であったと私は理解しました。  そして、この11月に保証人を求めないとする条例改正議案が提出されています。結果として1年という時間を費やしましたが、まだまだ保証人を規定している都道府県が多数を占める中、その英断に敬意を表するとともに、感謝したいと思います。まいさぽや社協などの関係者から制度の転換を歓迎する声が多く届いています。そこで、条例改正に至るまでの議論と改正の目的、その効果について田中建設部長に伺います。  2点目です。特に生活に困窮している方には、入居時に一括納付すべき家賃の3か月分の敷金を分割納付するルールを新たに設定するとのことですが、その目的と効果について田中建設部長に伺います。  その手続についてはまいさぽと連携するとのことですが、そうでなくとも多忙を極めているまいさぽに全てを任せ、仕事をさらに増やすようなことがあってはならないと考えますが、まいさぽとの連携をどのように進めていくのか。田中建設部長に伺います。  次に、このたびの県の制度改正が、市町村、とりわけ公営住宅を多く持つ中核市である長野市や松本市にも波及し、住宅に困窮する入居希望者に寄り添った公営住宅行政が県内全域で展開されることを期待しますが、県の取組について田中建設部長に伺います。  次に、丹波島橋の渋滞解消について3点伺います。  1点目。令和4年度においては、6月と9月の2回、丹波島橋渋滞解消に関する研究会が開催されたとお聞きしています。長野県と長野市の間で研究会における発言についての認識にそごがある事案があると仄聞しました。研究会においては、議事録が作成され、長野県、長野市、県警の3者が議事録により会議内容を確認し、認識を共有していると理解してよいのか。田中建設部長に伺います。  また、長野市は、主要地方道長野上田線の中氷鉋交差点から丹波島橋を通過して荒木交差点までのAルート、主要地方道長野真田線の下氷鉋交差点から丹波島橋を通過して荒木交差点までのBルートの二つのルートで、乗用車を使って丹波島橋周辺の通過時間調査を6月30日からこれまでに22回実施し、今後1月まで8回計画しています。この貴重な調査を研究会として共有すべきと考えますが、田中建設部長の見解を伺います。  2点目。研究会において提案され令和2年度に工事が完了した荒木交差点の既設135メートルに続く延長40メートルの右折レーン延伸の効果について、データに基づく検証は行われていますか。  また、40メートルに引き続いて、令和4年度以降、55メートル延伸の計画が研究会において示されたとお聞きしますが、現在に至っても何ら進展がありません。計画は見直されたのか。今後の展望について田中建設部長の見解を伺います。  3点目です。新橋の架設について2点伺います。  1点目。昨年8月、長野市南部地域5地区の住民自治協議会会長連名で長野市長に提出された丹波島橋渋滞解消のための新橋建設に関する要望書は、1、丹波島橋渋滞解消のための新橋建設期成同盟会の設立、2、市長に同盟会会長就任を要請するものでした。残念ながら、当時の長野市長は、この要望には応じられないとの回答でありました。南部5地区の皆さんは、これにひるむことなく、新橋建設期成同盟会をボトムアップで設立することを決め、丹波島橋の地元である更北地区住民自治協議会の会長が同盟会の会長となり、新橋建設に向け行動することを決断し、設立に向けて準備を進めています。期成同盟会の役員として、長野県建設部長や長野建設事務所長に要請が来ているとお聞きしております。  長野市南部地域5地区の人口は約14万人です。南部地域住民の皆さんは、渋滞解消のため30年来にわたって要望を行ってきましたが、渋滞の解消どころか渋滞緩和も実感できない厳しい現実があります。住民の不満は怒りを通り越して諦めの領域に達し、さらには行政不信を招きかねない事態になりつつあります。そうした状況を乗り越えて、行政によって首長を建設期成同盟会の会長に位置づけるトップダウンで組織する同盟会ではなく、住民が活動の主体として、住民代表が会長として設立するボトムアップ型の新橋建設期成同盟会です。  さきの9月議会において、堀内議員が千曲大橋の事業化について切々と要望されました。千曲大橋建設促進期成同盟会が設立されたのは昭和51年、既に46年が経過しています。毎年総会を開き、県や国に要請行動を行っています。そうした長年の努力の積み重ねがあっても、残念ですがいまだに事業化に至っていません。  丹波島橋方面からの荒木交差点の右折レーンの延伸、あやとり橋方面からの直進レーンの増設、信号サイクル調整の結果、交通容量が拡大し、渋滞が劇的に解消し、新橋の架設は必要なくなるという事態は想定がなかなか困難です。人口減少によって車の通行量が大幅に減ることは難しいと思います。高齢化に伴う免許の返納も、公共交通の利便性が確保されている大都市圏と違って、高齢になっても車を手放せない中山間地を含む地方都市の現実があります。  新橋建設期成同盟会を設立し、新橋建設に向け今から種をまいておかなければ、千曲大橋の事例を見ても、その芽が出るのは20年後、30年後ではなく、40年、50年、あるいはそれ以上かもしれないのです。新橋期成同盟会の設立に際し、役員の就任要請に応えていただくとともに、支援すべきと考えますが、田中建設部長の見解を伺います。  2点目。今年の2月議会で、建設部長は、私の質問に対し、長野都市圏総合都市交通計画において、新橋架設は主要交通施策の拠点間のネットワーク強化に資すると答弁されています。位置についても踏み込んでいます。現在の丹波島橋に2階建ての橋を架けることは、技術的にもコスト的にも現実的ではないということを確認すべきであると思います。いずれにしても、渡河部に接続する道路が長野市道であることから、長野市が主体となって新橋建設について課題の抽出を行っているといいますが、課題を抽出する長野市だけの責任ではなく、研究会全体としての議論とすべきと考えますが、いかがか。田中建設部長の見解を伺います。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には県営住宅と丹波島の渋滞解消について御質問をいただきました。  まず、県営住宅に関する御質問について御回答いたします。  初めに、県営住宅の入居状況と単身高齢者入居時の困難事例に関するお尋ねです。  本年4月1日現在の管理戸数は1万4,610戸であり、老朽化による募集停止や災害時等の緊急的対応のために確保している住戸を除いた入居対象戸数は1万189戸、それに対する入居率は98.6%でございます。また、単身高齢者世帯数は3,091世帯で全体の3割強を占めており、年々増加傾向にあります。単身高齢者の入居に際する困難事例といたしましては、本年10月、入居世帯に実施したアンケートにおいて、連帯保証人の確保に苦慮したという声が多く寄せられたところです。  次に、今回の条例改正の経緯や目的、効果に関するお尋ねです。  7月に開催しましたまいさぽ相談員との意見交換において、家族との死別や身寄りのない単身高齢者などが保証人を確保できず、入居を希望しても申し込めないケースがあるという御意見をいただきました。御意見を踏まえ、改めてまいさぽや住宅行政、福祉行政の有識者と具体的な事例等を交えた検討を行い、全ての方から連帯保証人を求めないことに賛同をいただきました。この条例改正により、住宅のセーフティーネットとして中心的な役割を果たすべき県営住宅において、住まいを必要とする方々の入居を円滑に進めることができると考えております。  次に、敷金の分割納付に関するお尋ねです。  敷金は、県営住宅への入居時にお預かりし、退去時の家賃精算や入居者負担の修繕等の費用に充当し、退去後に差額を返還するものでございます。このため、一括納付を基本といたしますが、まいさぽの支援を受けて自立した生活を受ける方が入居する際には、分割納付を可能とし、運用することとしました。まいさぽとの一体的な取組で、敷金の一括納付が困難な方の住居の確保と自立支援がより円滑に進むものと考えております。  次に、市町村への波及に向けた県の取組に関するお尋ねでございます。  これまでに、県内市町村で構成する公営住宅等推進協議会において制度改正の趣旨を説明したほか、検討過程において市町村との意見交換を実施してまいりました。これを受け、既に見直しの検討を始めた市町村もあります。公営住宅がセーフティーネットとしての中心的役割を果たすことが重要ですので、今後も県の制度改正に関する考え方などを市町村に情報提供し、理解を深めていただくよう努めてまいります。  次に、丹波島の渋滞解消に関する御質問にお答えします。  まず、丹波島橋渋滞解消に関する研究会での情報共有についてのお尋ねです。  研究会につきましては、令和元年に発足してから現在まで8回開催しており、丹波島橋周辺の交通容量の拡大や自動車利用者の総量抑制、交通分散による渋滞対策についてそれぞれの機関における具体的な取組などを基に議論を重ねています。  議事録については、現在は各機関で作成しておりますが、今後は3者で内容を確認し、情報を共有してまいります。  また、議員御指摘の長野市が実施した渋滞調査など各機関が実施した調査結果につきましては、研究会の中でその都度御報告をいただき、情報共有をしながら進めているところでございます。  次に、国道117号荒木交差点の右折レーン延伸についてのお尋ねでございます。  丹波島橋渋滞解消の取組の一つとして、令和3年3月に県事業により丹波島橋から北側の荒木交差点に向かう国道117号の右折レーンを40メートル延伸しました。整備後の令和3年7月と10月に出勤時間帯における右折レーンの滞留状況を調査したところ、信号の右折表示後にレーンに取り残される車両もなく、一定の効果はあったと考えております。  また、荒木交差点の交通容量の拡大に向けた一体的な対策である荒木交差点西側の長野市道の直進レーンの増設に長野市が今年度より着手する予定になっています。市道の対策が完了し、その効果の検証を行った上で国道117号の右折レーンのさらなる延伸について検討することを本年9月の研究会で説明したところであり、今後の進め方については研究会の中で協議してまいります。  最後に、新橋架設についてのお尋ねでございます。  まず、新橋建設期成同盟会につきましては、同盟会より要請がありましたら県としての支援を検討してまいります。  新橋の課題については、研究会の中で様々な課題を抽出しているところであり、引き続き課題整理に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。       〔11番池田清君登壇〕 ◆11番(池田清 君) 建設期成同盟会は先送りのできない課題です。またしっかり支援をしていただきたいと思います。  次に、サプライチェーンマネジメントについて伺います。  サプライチェーンとは、製品の原材料や部品の調達から販売に至るまでの一連の流れを指します。このサプライチェーンを管理し、製品の開発や製造、販売を最適化することをサプライチェーンマネジメントと呼びます。  まず、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分について2点伺います。  1点目。中小企業は地域経済の担い手です。中小企業の経営基盤を強化して賃上げ原資を確保していくためには、働き方を含めた取引の適正化の推進が不可欠です。また、企業規模間格差を是正するためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配が必要と考えます。林産業労働部長の見解を伺います。  2点目。親事業者から下請事業者への取引条件のしわ寄せを防止する必要があり、下請取引に対する監督体制の強化とともに望ましい取引慣行の遵守が重要と考えます。林産業労働部長の見解を伺います。  次に、パートナーシップ構築宣言について2点伺います。  パートナーシップ構築宣言とは、企業規模の大小にかかわらず、企業が発注者の立場で自社の取引方針を宣言することです。企業は、代表者の名前でサプライチェーン全体の共存共栄と新たな連携、振興基準の遵守に重点的に取り組むことを宣言します。  1点目。サプライチェーン全体の共存共栄と企業間規模を超えた新たな連携や望ましい取引慣行を遵守し、パートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に取り組むために、パートナーシップ構築宣言は有効と考えます。全国の状況も含め、県内の大企業、中小企業の状況をどのように把握していますか。林産業労働部長の見解を伺います。  2点目。中小企業が賃上げの原資を確保するためにも、パートナーシップ構築宣言の推進と拡大、実効性を高めるための継続的な取組が必要です。県としても支援が必要と考えますが、いかがですか。産業労働部長の見解を伺います。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) サプライチェーンマネジメントに関連して4点御質問をいただきました。  初めに、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分についてのお尋ねです。  中小企業白書によると、大企業と比べ中小企業では労働分配率が高止まりしており、営業利益として残る割合が相対的に低くなっていることから、特に中小・小規模事業者においては、エネルギー価格や原材料の高騰による影響を受けやすい状況にあると受け止めております。  既に、国では、下請取引の適正化を目的に、各関係事業者の1,600団体に対して下請代金支払い等の適正化、適正な価格転嫁の実現に向けた取組を要請しておりますが、特に受注側の中小企業が適正に価格転嫁を行うことは、サプライチェーン全体の収益拡大から賃金引上げへの好循環を創出する上でも重要と考えております。  次に、下請取引の適正化についてのお尋ねでございます。  中小企業庁では、本年7月に、望ましい取引慣行等を示した下請中小企業振興法の振興基準を改正し、親企業及び下請企業は年に1回以上価格協議を行うこと、下請企業から申出があった場合、親企業は延滞なく協議を行うこと、賃金の引上げが可能となるよう十分に協議して取引価格を決定することなどを追加したところです。  また、中小企業庁では、公正取引委員会と連携し、9月下旬から全国の下請事業者15万社に対して価格転嫁に関する調査を、下請事業者2,000社に対して下請Gメンによる重点的なヒアリングを実施し、調査結果に基づいて親事業者の代表者に対して適正化に向けた指導助言を行うなど価格転嫁対策を強化しているところです。県といたしましても、県産業振興機構に設置した下請かけこみ寺で振興基準の周知を行うなど、引き続き取引の適正化に向けて努めてまいります。  続いて、パートナーシップ構築宣言の登録状況についてのお尋ねです。  パートナーシップ構築宣言は、経団連会長、日商会頭、連合会長と関係大臣をメンバーとする未来を拓くパートナーシップ構築推進会議において創設されており、取引先との共存共栄の取組や取引条件のしわ寄せ防止を企業の代表者に宣言いただくものです。11月25日現在の登録状況は、全国1万6,344社、うち長野県は342社であり、そのうち県で把握している大企業は7社となっております。  最後に、パートナーシップ構築宣言への支援についてでございます。  パートナーシップ構築宣言により、特に発注者側に取引先との共存共栄の取組や取引条件のしわ寄せ防止をしっかり認識していただき価格転嫁への対応を促すことは、賃上げや消費につながる好循環をつくり出すために有効な取組と考えております。このため、県といたしましても、宣言企業が増えるよう経済団体等を通じて周知してまいります。  以上でございます。       〔11番池田清君登壇〕 ◆11番(池田清 君) パートナーシップ構築宣言につきましては、今議会においても参議院の予算委員会においても取り上げられておりました。今全国では1万6,000社を超える企業が宣言をしているとおっしゃいましたが、そのうち3億円を超える大企業は1,000社、圧倒的に中小企業が多いということです。中小企業において適正な価格転嫁によって好循環に導かれるよう、県として中小企業の支援についてこれからもしっかりやっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
          〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明9日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時43分延会...